中学3年生はチェルノブイリをどのように受け止めたか 子ども基金理事の小寺さんが昨年、中学3年生に「-チェルノブイリとヒロシマ〜これからの世界を生きる君たちに考えてほしいこと」というテーマで話しをしました。そのときの感想文から2点紹介します。 地震国日本はなぜ原発を進めるのか Aさん 私は毎年、通販生活の振込用紙からチェルノブイリの子供たちやドイツ平和村の子供たちへお年玉からお金を送ったり、昨年の絵地図コンクールで世界の原発を題材にしたりしたのでチェルノブイリの問題については少し親近感があります。 私は前々からなぜ日本は原発の新設を止めないばかりか、運転を中止する方向へも話が進んでいかないのだろうかと疑問に思っていました。長崎・広島の原爆を経験しているだけでなく、何よりも地震国です。原発を動かす人の手がいくら細心の注意を払ったところで大きな地震が来れば天災に放射能にという最悪の事態だって起こりえるでしょうし、それを人の手で未然に防ぐことはできません。原発を廃止する以外は。確かに日本は資源の少ない国で原発にたよらないことは難しいのかもしれませんが、原発が産む危険の方が産まれるエネルギーより大きいのではないかと私は思うのです。 今回の話と前に先生が印刷して廊下において下さったプリントを読んで非常に怒りを覚えたものがあります。それは、医者や政府や国、本来人々を守ってくれるはずの機関が自己の利害だけで考え、真実を伝えなかったことです。同じ人間、もっと言えば同じ国の人々が苦しんでいるのによくそのような不誠実な態度が取れるものだと思います。同時に、そのような無責任な人々の元で生きるには自分で正確に状況を理解する力や情報を正しく扱う力が不可欠なのだと思いました。大きな世界の中では微小といえるかもしれませんが良心的な医者たちやNGOの人々たちの活動を私はあまり知りませんでした。私はお金持ちの家に生まれたわけではありませんが、世界の中で見れば、私にもできることがたくさんあるはずです。 幸運なことに近い親戚に戦争で兵隊にとられた人がいないのでまったくと言っていいほど戦争についての実感を私は知りません。わずかに父が祖父(私の曾祖父)に戦争について聞いたら恐ろしい顔をして幼い父に何も話さなかったというのを聞くばかりです。日本は今、憲法九条問題などで戦後の体制が変化していくような大きな波の中にいるようですが、私たちがきちんとした実感と考えを持っていかなければならないのだと思いました。 最後になりましたが、今回のお話を聞けて本当に良かったと思っています。どうもありがとうございました。 同じ地球に生きる私たちの責務 B君 今、僕たちは恵まれた環境に生きています。しかし、いつチェルノブイリの被害地域のようになるか分かりません。いつでもそうなる可能性があるのだ、ということを強く認識すべきです。そしてそうならないための対策を何重にも考えておくことが重要なのです。 今回のこの講演は、僕にこの意識を持たせてくれた、とても意味のあるものでした。被害者の気持ちを理解し、二度とこのような恐ろしい事故を起こしてはいけない、そう強く感じました。 放射能は消えない…、この事実はどうしても変わりません。しかし、人間は何百年、いや何千年もの間、辛く悲しい過去を乗り越えてきたのです。その経験を生かして、世界が平和になるよう、僕たちは生きていかなければならないのだと、思いました。 本当にありがとうございました。 |