ウクライナとベラルーシで統計のとり方が違ったり把握されていなかったりします。また地域別に統計が集まっても1年、2年前のものがようやくわかる、という状況です。もうひとつの問題は、小児甲状腺ガンの統計を、どういう範囲でとるのが正しいのかが人によって違うのです。小児というのは、15歳未満の子どもと考えられています。15歳になるとその子はガンを抱えたまま小児の統計から外れていきます。 チェルノブイリ原発事故のとき3歳の子どもがもう15歳になって統計から外れます。ですから統計をやりなおして、事故当時子どもと青少年(18歳以下)だった人で現在甲状腺ガンになっている人の統計をとろうという医者もいます。そうするとウクライナで1000人、ベラルーシで1500人くらいになると思います。実際に現在の子どもということになると、もっと少なくなります。この数はどんどん減ります。チェルノブイリの事故が大したことがなかったというふうに思わせたい人たちは、小児甲状腺ガンはどんどん減っているという言い方をすると思います。 しかしそれは実際に減っているわけでなく、子どもたちの年齢が上がっていくために、小児という枠から外れていく、それだけの理由です。小児甲状腺ガンの問題は、今後、青少年・若い大人たちの甲状腺ガンの問題になっています。これから生まれてくる子どもたちも大きな問題です。当初は事故後に生まれた子どもにはほとんど甲状腺ガンはないと言われていましたが、今回も12歳以下の子どもの参加もありました。どうしてか、まだ医者に聞いてもはっきりとした理由がわかっていないのですが、事故後生まれた子どもたちの中にも甲状腺ガンの子どもがかなりいると聞いています。詳しい情報は近くお知らせしたいと思います。 [補足]小児甲状腺ガンの統計:
★ウクライナ内分泌研究所副所長 テレシェンコ氏より
★ベラルーシ甲状腺ガンセンター所長 デミチック氏 |