現地団体「チェルノブイリ家族の救援」が運営するサナトリウム「南」において、子ども基金の支援で行われていた下水道施設整備及びトイレの増設工事が、この度無事完了しました。 今回の工事は、オチャコフ市・国家公衆衛生当局からの要請、(1)サナトリウムの下水道設備から市の下水道網への直結(2)生活排水設備工事の実施の2点に答え、行われたものです。下水道工事に関して“指示通り施行できない場合はサナトリウムの使用が許可できない”との通告を受けたため、緊急の支援となりました。 昨年8月、“「希望21」特別保養”で子どもたちの講師も務めて下さった村形緑さんが現地を訪問し、施設の利用状況等を視察して下さいましたのでご報告します。 サナトリウム「南」は大自然の中で数週間を過ごし、健康回復をはかることを目的とした保養施設です。特に経済的に海外での保養ができない家族にとって重要な役割を果たしています。 黒海を臨む高台に位置し、夏場は海水浴を楽しむことができるため保養希望者は後を絶ちません。貧困家庭の人や片親の人が優先的に入所できるよう配慮されていますが、多いときには500名から700名が利用することもあるといいます。気温が40度にも達する時期がそれに当たり、衛生管理の面からも下水道整備やトイレ施設設置は切望されていました。 子ども基金ではこれまでも「南」の改築費、改修費、子どもの保養費等を支援してきましたが、ウクライナはインフレが激しく物価が高騰しており、予算内で施設を運営するためには食費をやり繰りしたり、削ったりする状況もありました。そのため施設整備まで十分手が回らなかったのです。 しかし今回は、前述の市当局からの要請や、日本政府(主務官庁・外務省)の「NGO事業補助金」枠の中から一部経費の助成(*総費用約600万円うち約200万円の補助予定。詳しくは決算時にご報告します。)が受けられたこともあり、ようやく98年6月、工事に着手することが出来ました。 子ども用の宿泊コテージ「子ども棟」。この1号室を改築し、トイレは設置されました。視察の際には既に工事は完了しており、訪れた子どもたちに利用されていました。 これまでは照明のない屋外トイレが1カ所あるのみ。夜間の子どもの利用には大人を起こし、付き添って貰わなければならなかったため、ようやく出来た屋内のトイレは皆に歓ばれ、早くも使い込まれていたようでした。ただ水洗トイレは2つなので、宿泊者数からすればいずれもう1つ設置されればなお嬉しい、とのことでした。 下水施設設備工事は施行前でしたが同年秋に広河代表が現地を訪問し、「家族の救援」代表のバツーラさんと面談して工事についての確認を行なっています。その工事も昨年末、無事に完了致しました。 皆さんのご支援で今後も子どもたちの保養が継続できますことを、心よりお礼申し上げます。 |