ナターシャ・グジー・コンサート 報告集

公演主催者からの報告(6)


山口・徳山市文化会館

「チェルノブイリからの風」実行委員会 高島

 5月16日、徳山市文化会館リハーサル室、開演十分前。70余りの椅子席は埋まったものの、平土間には空席が目立つ。「もしも、お客様が少なくて、ナターシャを、がっかりさせることになったら?」不安が、胸をよぎる。

 いよいよ、開演。250名収容の会場は観客で埋めつくされ、不安は、会場整理の嬉しい悲鳴に変わった。(最終入場者は300名)

 ナターシャの美しい、透き通るような歌声、その底にある、魂の叫びに、観客は、我を忘れ、聴き入った。失われた故郷、家族等、愛する者はすべてと訣別せねばならなかった哀しみに、胸を突きさされるようであったと、多くの人々が、語っている。

 広河さんのスライド講演は、写真という視覚を通して、彼女の歌と裏打ちした。「チェルノブイリは、終わるどころか、深刻さを増している事に驚いた。」「日本の学者が率先して事態終結宣言をしたのは、ショック。」等アンケートにも、多数、意見が寄せられた。

 午後3時、全員合唱『ふるさと』で名残を惜しみつつ、終演。見交わす瞳に、光るものを見たのは、私だけではなかったようだ。

 コンサート後、ナターシャと広河さんを囲んでの交流会には37人が出席。コンサートの疲れも見せず、活き活きした表情で、参加者の自己紹介や感想に耳を傾けてくれるナターシャや広河さんと、なごやかなひとときを過ごすことができた。

 コンサートを引き受けた時は、素人の女性ばかりで自信もなく、とにかく、私達がチェルノブイリのことを知ろう、スタッフ同士のチームワークを大切にしようーと取り組み、司会の高校生、キーボードの下松女声合唱団の方、通訳の山口さん等、素敵な出会いと救援に支えられ、成功させることができた。

 最後に、山口県初開催のために、財政援助をして下さった、広島実行委員に感謝すると共に、音響効果、舞台装置等、悪条件にも拘らず、好演して下さったナターシャと広河さんが、来年も懲りずに(次回はキチンとした会場を手配します!!)おいで下さることを、実行委員一同、祈念しています。


名古屋「今池ガスホール」

チェルノブイリ子ども基金支援の会・名古屋 うんのともえ

 6カ月間、夢を育てた友だちが、それぞれのやり方で手伝ってくれた。

 5月20日に夢の花が開いた。七色に変わるライトを浴びて、天使のように歌うナターシャ。バンドゥーラの不思議な旋律にのって、澄んだ歌声が400近い人々の心にしみ入る。

 ナターシャをとりまくシャンソンの花束。素敵な衣裳でけんめいに人生をうたうクラポーの人たち。

 云うべきことを忘れてばかりの司会者(うんの)に、なごやかに笑う観客。

 よたよたと出て来て「ほんでもって」と云うのが可愛かったよと、72歳の私をからかう仲間達。大過なくすべてが終わってよかったよかった。

 よく眠ってネ、と云われたが眠れない。

 済んでみれば夢のようだが、まだ夢の思い出をアルバムとビデオにして、ナターシャと手伝ってくれた友だちに記念として贈る仕事がある。

 募金も見込みより多く集まった。えらいさんの挨拶もない現実に則した変則的なプログラムでも会はうまく成り立った。

 ボランティアの皆さんの無私の奉仕がすがすがしくて気持がよかった感動したという学生がほめてくれた。それが一番嬉しかった。

**紙面の都合により次号に渡り掲載させていただきます。**


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