広河隆一より出版社へ!


 講談社から出版された近藤宗平氏著「人は放射能になぜ弱いか〜少しの放射能は心配無用」の中で、広河隆一のテレビ番組と写真が、本来の主旨から外れた目的で紹介されました。広河が講談社に送った手紙を掲載します。

講談社社長様
 拝啓
 貴社のBLUE BACKSから出版されました近藤宗平氏著「人は放射能になぜ弱いか〜少しの放射能は心配無用」のなかで私のことが記述されていましたので、お尋ねします。
 P222に私が提供した写真が掲載されています。
 P248に私の製作したNHKテレビの紹介があります。そこで私の製作意図とは逆に近藤氏はとらえられ、避難しないで残っている人を私が支持しているかのような文章があります。私はこのビデオを多くの人に見ていただきましたが、私の製作意図は随所にナレーションで表しており、近藤氏は勘違いをされてこのテレビ番組をご覧になったようです。 私はチェルノブイリ事故の被災者の救援をしていますため、とくにこどもたちの窮状はよく知っています。甲状腺ガンが増えているのも、スクリーニングした結果多くなっているように見えるだけだなどという考えは、今やWHOをはじめ世界の医学界、研究者によって否定され、今でもそういう考えを支持しているのは一部原発産業の関連の学者にすぎません。こうした考えが早期発見の機会を奪い、そのため死んでいった少女をよく知っています。
 私は私の作品が誤って紹介されていることに抗議し、その部分の削除あるいは書きなおし、写真の提供撤回をお願いします。

1999年5月22日  広河隆一

 これに対し、担当編集者より2度電話があり、次のことが約束されました。
(1)再版されたときには、写真をさしかえる。
(2)広河と近藤氏の考えが似ているという流れで本書に書かれている部分も、再版時に変えるよう著者と話に入る。

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