チェルノブイリ17周年救援キャンペーン


 今年の4月26日でチェルノブイリ原発事故から17年を迎えました。事故の起きた春に、今なお被害が続いていることを訴え、救援を呼びかけるために救援キャンペーンを行ってまいりました。

 今年は4月27日に日比谷公会堂で「チェルノブイリと地球」と題したコンサートを開催し、避難民で歌手のナターシャ・グジーの歌とバンドゥーラ演奏に、EGO-WRAPPIN’(エゴラッピン)の中納良恵さんたちを迎えました。コンサートの準備をすすめる中、事故から17年という時間の長さを重く感じました。例年に増して厳しい状況ではありましたが、多くのボランティアの協力をえて、当日は1200人のお客様を迎えての開催となりました。募金は269,296円、賛同金は195,450円お寄せいただきました。ボランティア、出演者、舞台スタッフ、ご来場のみなさま、いろいろな形で支えてくださったすべての方々にあらためてお礼を申し上げます。

 4月17日から24日まで、キッド・アイラック・アート・ホールで写真展「チェルノブイリ・核の傷跡」を開催しました。70点以上の写真の展示に加え、神田香織さんの「チェルノブイリの祈り」講談、ナターシャ・グジーのミニライブ、広河隆一のトークショーを開催しました。

 「チェルノブイリの祈り」は神田さんの声・身体を通して、事故の記憶が現在によみがえり、消防士の夫を奪われたリュドミラの悲しみと怒り、そして人を愛する思いの深さが身体に響いてきました。45回のチェルノブイリ取材を重ねてきた広河さんのトークショーは、ビデオや取材時の貴重なエピソードなどを交えて3時間に及ぶ濃い内容になりました。ナターシャのライブはウクライナの民族楽器バンドゥーラ演奏を堪能し、『見上げてごらん 夜の星を』『早春賦』『ふるさと』は会場のお客様との合唱になりました。

 キャンペーンの詳しい会計報告は次号にてご報告します。

 参加してくださったボランティアの方、会場のアンケートをご紹介します。


 

コンサート「チェルノブイリと地球」

ボランティア 中川原加寿恵さん

 関心を持つきっかけが、ほんの些細なことだとしても、事の深刻さを知ると次第に引き込まれていき、そしてそうなると見て見ぬふりはできません。…今回、初めて救援コンサート、写真展などのボランティアに参加させていただいて、始めはチェルノブイリの現状や子ども基金の地道な活動の事を、恥ずかしながらほとんど知りませんでした。でも広河さんの写真、著作物などを通して触れていくうちに、人間が犯した過ち、想像を絶する悲しみ、そして被災者への大きな力になっている救援活動のことを、自分がふとしたきっかけで知ったことから、想うことにつながっていったように、一人でも多くの人に伝わっていって欲しいと思うようになり、その願いを込めて宣伝活動に励みました。多くのボランティアのそんな気持ちが、今回の活動によって、チェルノブイリに明るい光を照らすことを望んでいます。  小児甲状腺がんの発生のピークが、2005年と言われているという実状の中で、時の経過と共に風化されることなく、支援が広がっていくよう、今後も活動に携わっていきたいです。多くの人が心で寄り添うことで、同じ地球の仲間たちが、明日への生きる喜びを抱き続けられるように願いながら…。

来場者のアンケートより

■来て本当に良かったです。正直、チェルノブイリの言葉くらいしか知りませんでした。今回、音楽や写真を通して、決して風化させてはいけないものなんだ、私たち若い世代が、もっともっと知ろうとしたり、考えたりしなくちゃだめなんだと感じました。 (20代・女性・学生)

■放射能は原発(チェルノブイリ)だけの問題ではないことを改めて認識しました。そして17年たっても忘れてはならない、被爆国である日本人としてもって関心をもたなければ、と考えさせられました。(30代・男性)

■正直なところ、忘れていました。影響なしと言った方が日本人で広島の方という話にショックを受けました。小さい命が失われて行くのはつらいことです。そして、これからもこの様なことがチェルノブイリ以外でも起こることに胸が痛む思いです。(60代・女性)

■チェルノブイリ原発事故に関しては名前くらいしか知りませんでした。今まで大変だとわかっていても被害者の気持ちはわからなかった。ナターシャさんの話や広河さんの写真は、学校で先生から聞いていた話より、何倍も説得力と実感がありました。少しでも多くのことを知ることができてよかったです。これからもがんばって下さい。(10代・男性)

 

写真展「チェルノブイリ・核の傷跡」〜広河隆一トークショー

■チェルノブイリ原発事故のことは忘れかけていたのですが、改めて被害の大きさに驚きました。報道されないだけだったのですね。日本でもこのような事故が起きたら、と思うと恐ろしくなりました。苦しんでおられる方がたくさんいるのだと思うと、心が痛みます。少しでも力になれればと思います。(30代・女性)

■イラク戦争でも情報操作、メディアの操作が、取り出されていましたが、このチェルノブイリの写真展でも初めて、一連の事故の恐ろしさを知りました。自分を守るため、メディアに流されない。自分で考え、自分で知る努力が必要であると感じました。(50代・女性)

■厳しい現実をつきつけられた思いです。真実を知ることは、恐ろしい気がしますが、知らなければいけないと思いました。世界中、母親の気持ちは同じです。ありがとうございました。(40代・女性)

■自分にも何ができるか、と思いました。これからも自分なりにできることを探し、チェルノブイリ事故にかかわっていこうと思います。今回のトークショーがそのきっかけを作ってくれました。(10代・男性)

 

講談「チェルノブイリの祈り」

■いつのまにかチェルノブイリの事故は過去のことのように感じていましたが、写真展、神田さんの講談を聞き、今、自分に迫ってくるものを感じました。神田さんの講談を生で聞きたいと思いまして、今回、実現でき、感動しました。また機会があればと思います。ご活躍をお祈りします。(50代・女性)

■『チェルノブイリの祈り』を一度読んでから、あまりのショックにこの本を開けなかった。今日、神田さんの講談を聞くのも、本当は怖かった。聞いているうちに、全ての光景が鮮やかに目に浮かんでくるようだった。本を読んだ時のことがよみがえってきた。恐怖も悲しみも、また新たになった。今でも病気で苦しんでいる人のために何とかしたいと改めて感じた。そして、もう誰もリューシャのような思いをしないように。今日は来てよかった。神田さん、ありがとうございました。(30代・女性)

 

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