ミンスク便り
こちらベラルーシも地球温暖化の影響なのか、ここ数年は暖冬が続いています。12月にほとんど雪が降らず、気温も異常に高かったのですが、年が明けたとたんに大量の雪が降り、ようやく冬らしい景色になりました。2月になって気温の上下が激しく、雪が溶けてはまた積もり、を繰り返しています。まだまだ雪は降りますが、それでも日差しが出ると暖かく感じられ、冬は折り返し点を過ぎたようです。 大雪が続くと町中の除雪が間に合わなくなることはありますが、それでも交通機関が麻痺したりといったことはほとんどありません。さすがに北国、それなりの備えはできているのでしょう。ロシアの有名なコメディアンが、「アメリカと戦争をするのに核兵器はいらない。雪玉を投げつけてやればいいのだ」と言っていましたが、確かに東京などが大雪のたびに大混乱に陥っているのをみると、うなずけてしまうジョークです。道路の除雪には各種の除雪車・機械が出動しますが、歩道の雪は主に人の手で片づけられています。朝目を覚ますと、窓の下で雪をかく音が聞こえてきます。家の周囲の道が歩きやすいかどうかは、こうした雪かきをする人たちの働きにかかっているのです。ちなみに、我が家の周りでは雪かきをしているのは女性が多いようです。 雪、と言えばロシアのモスクワでは、屋内プールの屋根が雪の重みで落ち、多数の犠牲者を出すという悲惨な事故がありました。もともとかなりずさんな工事をしたところに大量の雪が積もったことが主な原因ではないかと言われています。ここまで規模が大きくはないものの、実はベラルーシでも同じような事故がこれより1ヵ月ほど前にありました。学校の体育館の屋根が落ち、体育の授業をしていた生徒や先生の計4名が亡くなったのです。この学校はつい2年ほど前に竣工したばかりで、原因は耐久性のない建材を使ったためだったようです。この学校があるクラスノポリエという町はチェルノブイリ事故の汚染地でもあり、事故が起こったのは保養に出かける子どもたちのバスが出発する日だったそうです。学校の建物が老朽化して危険なので使用を禁止される、という話は珍しくないのですが、新しい建物でもこのような事故が起こるとは恐ろしい話です。学校などは予算がないため修理もされず放置されている一方、大統領の肝いりで立派な室内サッカースタジアムが建設されたり、首都の大通りに沿った建物が次々に修繕され、美しくライトアップされたりと、どうも納得のいかないことばかり目についてしまいます。 日本でもベラルーシでも春を待ち望む気持ちは同じですが、ベラルーシの場合、待ち時間が長いため、疲れてしまいます。「春先のビタミン不足」という言葉をこちらではよく耳にしますが、精神的にもこの時季、ストレスを感じる人が多いようです。今回の話しも全体に批判めいたものになってしまったのはそのせいかもしれません。ビタミン不足に気をつけて春を迎えたいと思います。 (花田朋子) *花田朋子さんは、ベラルーシの首都ミンスク在住。現在、日本大使館勤務。 |