■日本ではまだまだ残暑厳しい頃ですが、ミンスクはここ一週間ほど雨が続いています。ヨーロッパやアメリカでは記録的な猛暑でしたが、ベラルーシも7月はかなり暑く、30℃を超える日も何日かあってベラルーシ人にとっては辛かったようです。8月になってからは雨が多く、例年の3倍の降水量があったとか。それでも気温はそれほど下がらず、比較的過ごしやすい夏でした。地球温暖化の影響はベラルーシにも及んでいるようで、夏の暑さは以前より厳しくなっていると言われますが、ベラルーシの場合、冬の寒さについても同様ですが、カーテンをつけて日差しを遮ったりするなど、エアコンをつける以前にできることがまだまだあると思います。
■冬の寒い時季にインフルエンザが流行したりするのは日本でもベラルーシでも同じですが、ベラルーシでは水道水の質や、衛生状態全般の悪さから、日本ではほとんど発生しないような伝染病が発生することがあります。食中毒も軽いものであれば日常茶飯事、そうそう病院に行く訳でもないので、集団食中毒がニュースになることも少ないのでしょう。毎年夏には、市場で売っているスイカやメロンで食中毒を起こすケースが多発しているそうです。これは切り分ける際に使うナイフなどが清潔でないのが原因のことが多いようですが、その他にも、屋外で売られている場合や、屋内であってもエアコンがないため、外以上に気温や湿度が上がることがあり、真夏に食品を購入する時には注意する必要があります。
■また夏には、人々が森や草原に入って行く機会が多いため、動物に咬まれたり昆虫に刺されたりする危険も高くなります。ダニは日本の場合、ヒトを刺すことはない代わりにアレルギーと関連づけて話題にされることが多いですが、ベラルーシでは湿度が低いためか、日本のようなダニではなく、刺すダニに対する注意喚起がよく聞かれます。幸い実物を目にしたことはありませんが、これらのダニは肉眼で見えるほどの大きさで、刺し傷から脳炎などの病気に感染する危険があります。ベラルーシのかなりの地域でこうしたダニに刺される危険性があり、森や草むらに入った後は体にダニが付着していないか確かめ、ついていた場合は針が残らないように上手く取り除かなければならないそうです。ダニ脳炎の予防接種もありますが、まだそれほど一般的ではないようで、いざという時のための対処法を学んでおいた方がよさそうです。
■また、狂犬病もあります。日本でもかつては、野良犬を見たら狂犬病かも知れないから気をつけろ、と言われたりしたものですが、大陸では野生動物を管理するのが難しいため、今でも狂犬病の被害が毎年発生しているようです。キツネやタヌキなどの野生動物に咬まれて感染する場合もありますが、飼い犬・飼い猫に咬まれて感染するケースの方が圧倒的に多いようです。ベラルーシでも今年前半だけで、犬猫による咬み傷を医師に訴えた13,000件のうち、800件が狂犬病に感染した動物によるものだったそうです。発病してしまうとまず助からないので、予防接種を受けておくか、そうでない場合はすぐに医師にかかる必要があります。咬まれてから発症を防ぐために注射する場合、以前は40本もの注射を打つ必要があったそうです(現在では6本)。こちらでは大型犬でも紐などにつながず散歩していることも多く、考えてみれば怖いことです。このほか、ジフテリアや髄膜炎も、日本では滅多に無い病気になっていますが、こちらでは時折流行して注意を呼びかけられる病気です。
■9月に入って、空いていた公共交通機関もにわかに混雑するようになりました。学校では新学年が始まり、日本の「五月病」に相当する言葉はないようですが、少しずつ日が短くなり、気温が下がってきて少し寂しい季節です。ロシア語には「黄金の秋」という言葉もあり、短いながら美しい季節を実感してから長い冬を迎えたいところです。
(花田朋子 ミンスク在住)
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