名古屋企画は、今年、「21周年、今、私たちにできること〜国境を越える核との闘い」を趣旨に掲げた。正直、まだまだ伝え切れていないことを実感する日々でありながら、それでも、今、私たちに出来ることを、それも模索の段階を越えて、実行への一歩の提起をしたいと思った。
「チェルノブイリ救援・中部」との協働。この団体は、当初から確かな救援活動の実績を持つが、今、平行して、汚染地の再生を目標に「ナロジチ再生・菜の花プロジェクト」への取り組みが進んでいる。実験室の机上の論を卒えて、すでに現地に種まきをし、土壌の再生、地場産業の創設への壮大な一歩を踏み出している。その取り組み報告を、「チェルノブイリ子ども基金」からは、現地から戻ったばかりの佐々木理事の報告と、その現地の苦悩・痛みに、緊急に日本の市民がどんな連帯ができるかの示唆を提供する、という二本立て。絵画展事務局からビジュアル効果の高い被曝児の絵画も展示した。
「菜の花プロジェクト」には活発な質疑が続出、対照的に佐々木理事の報告には沈黙と重い空気が会場を覆った。司会者自身が涙ぐみ言葉につまるという「現実」を参加者は共有し、自分にも出来ることを自問したと思う。この企画の実際的効果は今後に待つことになるが、<悲しみを伝えることから連帯への具体的提起へ>という手法は、今後歳月を経てますます必要になっていくと思う。今回はその一歩であった。 (宮西いづみ)
〔注〕右上の写真は東京と名古屋で話をされたサフチツ・ナタリアさん(ベラルーシ)通訳をする佐々木真理さん。「彼女の話はとても感動的で、自らの体験をよく語ってくれました」と来場者の声。次号でナタリアさん
のお話を紹介します。今回の来日は里親の方の招待により実現したものです。心からお礼申し上げます。また滞在中、多くのボランティアの方に助けていただきました。ありがとうございました。
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