農と言える日本・通信 No.11 1999-11-03      高野 孟

●全編リスポンス特集

■連合で「100万人故郷帰還運動」を企画・推進している高橋公さんより

 この通信、少なからず小生の知り合いも読んでいるんですね。菅原文太さんは 、彼の子どもが小さい頃、小生たち早大の仲間で東京・代々木に造った紘武館という 神道夢想流杖道の道場に通っていて、その時以来のおつきあいです。過日お会いした ら、奥さんから、高野さんの通信を見ました、と言われ驚きました。それから、レジ ャー・サービス労組の高橋書記長からも、同じく声をかけられました。近々に話しを しようということになっています。
 100万人の件は「食料・農林漁業・環境フォーラム」(全中・連合・消費者団体な どで構成)の中で、プロジェクトを作って具体化の検討に入ることになりました。か たちが固まり始めたら連絡します。

■高野と草ラグビーチームで一緒のライター&TVリポーター生江有二さんより

 森の下草刈りをやりましたか。あれは、やはり下草刈り用のカマなど、道具が ものをいうので、道具の取り扱いがへたくそな都会者には大変でしょう。しかし、森 の中に入って汗をかきながら楽しんでいる都会者の姿も目に浮かびます。最後の集ま りには是非と思うのですが。そのときはもらいものの越乃寒梅、もしくは八海山を持 っていこうと思っています。新米のおにぎりをたべたいなあ!  

▼高野お返事→>常連者は、チェーンソーを買った者2名(私はスチールとい うドイツ製で、もう1人の若い衆のマキタなんて日本製のおもちゃより値段が2倍な のだ!)、森林伐採用の鉈や鋸や鎌を買った者約10名で、みんな結構道具に凝ってい ます。エンジン草刈り機は現地に2台あって、私も刈り方、研ぎ方がだいぶ上達しま した。アハハ…

■10月に鴨川に来たモンゴル留学生たちのリーダー格=ムンクトル君より

 この間は大変お世話になりました。日本の田舎を観光客の立場からではなく現 地の住民の立場から体験をできたことをとても嬉しく思います。特に恩田さんのとこ ろで囲炉裏を囲んで酒を飲みながらお話しできたのはなによりも楽しかったです。そ してガンコ山に登るときはまるでジャングルを歩いているような気がしまた。
 これからも、いろいろ体験をさせていただくことを期待しています。本当に有難う ございます。宜しくお願いいたします。

■オーストラリア在住のインサイダー協力者=リック田中さんより

「農といえる日本」、地球の反対側で楽しく読んでいます。冬の底から春の気配 が見える時期になり、トマトの苗作りに入りました。昨シーズンから飼っているあひ るも卵を生むまでに育ち、今シーズンはなめくじ、かたつむり対策に大きな威力を発 揮することを期待しています。
 トマトはまだ真空保存のストックが残っていますが、じゃがいもはすでにストック を使い果たし、つ くづく農閑期を感じます。玉葱、にんにくはすくすくと育っていますが、次のシーズ ンまで食べられるほどの収穫があるのか、あけてみないと分かりません。季節がめぐ ってくるまではまた気が遠くなるような時が流れるわけで、つくづく工業的な感覚が 通用しないことを痛感します。
 歳を重ねるに連れ、食事の質も気になりますが、あと何回春を迎え、トマトなど夏 野菜を作ることができるのだろうかと考えることが多くなり、真剣にならざるを得ま せん。

 そちらは王国ばやりのようですが、こちらはさらに西進を決め、カトゥーンバ から1時間半、シドニーからは車で4時間ほどのところにあるオベロンの町はずれに 友人と35ヘクタール程の農場を購入しました。標高はここよりも高く、1200メートル 。冬には雪も降る場所です。35ヘクタールというとかなりの広さなんですが、こちら ではしょせん「趣味の農場」扱い。この程度では本物の「農場」とは言わないそうで す。

 気に入ったのは虹鱒やカモノハシが生息するというwisemans creekという小川 で、これが農場の真ん中をちろちろと流れ、泳ぐのに適当な水たまりもあり、夏は快 適そうです。今は建物はなにもなく、当然、電話も電気も水道もなにも来ていません 。敷地の半分はこれまで羊などの放牧に使われてきたので、土がコチコチに固まって おり、とりあえず緑肥となる粟やそば、クローバーなどを蒔き、それから果樹などを 植え、土質の改良をしながら、何年かかけ住居などを建てていくつもりです。冬は寒 い場所なので、林檎とかなしなどがいいかもしれません。ちょっとした湿地もあるの で、米を植えてみようかなどと熏lえています。不思議なことにこちらでは種もみが 手に入りません。

 とにかくなにもないところなので、これから5、6年かけて、時間はかかって も、代替エネルギーをとりいれ、熱効率の良い家を作ろうと思います。素材は日干し レンガか、それとも材木?など、あれこれ考えています。35ヘクタール、半分は手付 かずの薮、ブッシュが残っているのでそこはそのままに残そうか、月見小屋程度のも のくらい作ろうか、いろいろ思い描いています。大豆が育てば、豆腐や味噌など、大 豆の加工品に進もうかなどなど。どこかに豆腐屋さんの出物 はありませんか? 「農場」の名前は「なんとか王国」も検討しましたが、11月6日 に共和制への移行をめぐり国民投票が行われる土地柄(インサイダーNo.438参照)、 はやらないので、小川の名前にちなみKENNJA(賢者)と呼ぶことにしました。NINJA (忍者)と言う言葉が語彙に入っているだけに、舌にのりやすい言葉です。

 各地の王国同様、皆様のお越しをお待ちしております。 ▲