●鴨川「棚田&大豆畑トラスト」
おかげさまでほぼ順調に会員が集まっています。3月一杯で集約した上、応募して頂いた方々に4月中旬に一度東京でお集まりいただいて、藤本のほうから今後の進め方などについてご相談させていただく予定です。
■2月初旬に『北海道新聞』読者の声欄に「ドングリの売買、動物のえさ心配」という江別市の65歳男性の投書が載った。「ドングリの実でビールの味を試してみるのも結構だが、企業として本格的にこのビールを生産するとすれば、どれほどの実が必要なのだろうか。子供たちにドングリ集めさせて買い取り、利益の一部を寄付して森林の整備や子供たちが森に親しむきっかけづくりに役立てるという。だが、ドングリの実を売買するとなれぱ、小動物の冬のエサまでかき集めることになるような気がしてならない。森に親しみ野生動物を思うことを子供に教えるなら、発想が違うのではないか。木の実が不作の年は、動物は生きるために樹皮までエサとしていることで分かるが、樹木の被害も考えなけれぱならない。子供の手を借りてまで、リスのような小動物のエサを分捕ることはないと思う」というのである。
■また北海道大学「どんぐり愛好会」からは帯広ビール宛に「十勝のどんぐり直ぐに無くなってしまうよ」というメール意見が届いた。「これ自然破壊です。まして子供たちを使って金もうけ止めて下さい。御願いします。かなりのどんぐり必要だと思います。芋と違って生産出来ないのですから良く考えてほしいです」
これに対して平林さんは次のように返信した。「ご意見ありがとうございます。只今ドングリの購入先・買い入れ方を検討中です。今回ビール(発泡酒)を造るために使ったドングリは1仕込(400リットル)で30kg使用しました。ドングリの使用量なども検討中です。北大のどんぐり愛好会ではどのような活動をしているのですか? 柏の木の植樹などの活動もしているのでしょうか? 良いアドバイスなどありましたらご一報下さい」
■さらにsnkkwajiという人からも「こどもとお酒?」というメール意見があった。「 集めたのはおもに子供たちで、子供たちに還元されたのは、しいていうなら“森で遊んだ経験”ですね。どんぐりビール400リットルでどんぐり30キロですか? お金の面でいうと1キロ100円で受け入れたという話も聞きました。とすると子供たちには3000円還元されたわけですね。瓶1本800円(500ミリリットル )という話も聞きましたが、もしそうなら400リットルは完売すればいったいいくらになるのでしょう? ビール生産は手間暇かかるとはいえ、子供たちへの還元があまりにも少ないように思えます。大人たちが飲むものですし、いっそう心苦しい気がします。帯広市への森作りへ寄付されるということですが、環境へ与えたダメージも指摘されていることですし、自然を愛する企業・エルパソとしては何とかしたほうがいいような気がします。インパクトがあるゆえ、このことがマスコミによって全国に発信され、十勝のイメージアップではなく、ややもするとダウンにつながる可能性もあるのではないかと心配しています。世の中には、どんぐりを植える人もいるのですから」
平林さんの返事は次の通り。「たしかに今回のドングリ集めには、お子さん達と父兄が一緒になってドングリを収穫していただき、そのドングリをビール生産に使いました。また、そのビールの売り上げについても帯広の森整備への寄付という事で帯広市に3月上旬に届けることになっています。また、今回のさまざまなご意見を参考にして来期の計画を打合せします。そこには今回のご父兄の方々にも集合していただき話し会う予定になっています。ただ、次回のどんぐりの収穫についてはどんぐりを専門に育てているところから集めて今回のような結果にならないような方法を考えて行きたいと思います。言い訳になってしまうのですが、今回のお子さん達に集めてもらった、ドングリ収穫の方法は昔もやっていたことでした。その収穫を懐かしむ大人と子供の会話も楽しい一時でもあったわけです。ただ、エルパソの方法が今回は収益を得ているというイメージが先にあったならば、これからの展開としてはどうなのか、“どんぐり銀行総会”にて話し会うことになっています。ただ、商売につながっているというイメージとして捉えられていることが凄く残念でした。実際の収益などはほとんどありません。皆さん、まったくのボランティアということでありましたから。どんぐり銀行収支を数字にしている用紙があります。もし御希望でしたら公開もいたします。できましたら環境のことを企業が提言してもなんら問題のない方法を教えていただればと考えている次第です」
■このような論議になったあと、平林さんが市に寄付を持っていったところ、受け取りを保留された。『北海道新聞』十勝版3月11日付朝刊の記事です。「帯広の地ピール会社・帯広ピールが造ったドングリの発泡酒をめぐり波紋が広がる中、帯広市は十日、同社の平林英明社長が寄付金として持参したピールの販売代金の一部の受け取りを保留した。自然保護の観点でドングリ集めに疑間視する人への配慮という。同社は小中学生から集めたドングリの実で二月下句に発泡酒“どんぐりゴッコ”を造り、一本五百ミリリットル(八百円)のドングリピール六百四十三本を販売した。市内に住む会社社長ら有志と“どんぐり銀行”をつくり、当初から一本につき百円を『帯広の森』の整備のために寄付する計画だった。ところが販売後、帯広ピールにぱ、ドングリ集めに対し『森の動物たちの食料を奪う』『ピールの副原料を子供に集めさせるのはどうか』などの意見が電話や手紙などで届いている。同市緑化環境部の北川誠司次長は『環境への配慮などで賛否両論がある以上、すぐには受け取れない。一週間ほど時間を置いて、結論を出したい』と言う。寄付金六万四千三百円を持ち帰ることにした平林社長は『ドングリ集めに間題があるなら、量に上限を設けたい。ぜひ寄付金を受け取ってほしい』と話している」
■某夫婦のドングリ論争談義(ちなみに吉田家)
夫 このドングリ論争、どう思う?
妻 ほんのわずか30キロのどんぐりを25人程度の子どもたちが、あちこちから集めてきて帯広ビールに届けたわけでしょう。それを反対意見の方は根こそぎドングリを持っていって、リスのエサがなくなってしまう、リスさんかわいそうというイメージが先行してしまった気がする。そして子どもが集めてきたドングリでビールを造り金もうけのために子どもを利用しているというイメージも先行している。これはゴッコの世界で、金儲けというならもっと効率のいい方法があるはず。これは平林さん流のゴッコの世界で金儲けしょうという意図は薄いのではないでしょうか。まるで時代劇で無垢な庶民をだます悪い商いの越後屋のごとき扱いになってしまう。それでは中札内で造っている「コクワ酒」はどうなるの? 誰もクマさんのエサとらないで!と言わないでしょう。クマさんは怖い獣でリスさんはかわいそうっていうイメージはあるのかもしれない。
夫 木を切ったり、国立公園にトンネルを掘ろうとしたり、川に魚が少なくなってしまうほど自然をこわし開発を進める現実がある。そのとき、誰がそれをやっているか、顔が見えてこない。組織や行政にははっきりした顔が見えない。継続事業は担当者も変わるし、責任もあいまいだ。その点、ドングリ論争は、顔が見えてるから文句も言いやすい。そんな側面もあるよな。平林さんや「どんぐり銀行」の方々は面白はんぶんで子どもたちと森とのふれあいのために「ドングリをちょっと集めてきて」と声をかけたのだと思う。新聞の談話にあるように今後は、ドングリ集めに上限を設けるか、子どもたちをまきこまないで私有林の業者から購入するかだと思う。エゾリスのエサは松の実という森林を所有する方の意見もある。イメージで語らずにいろんな現実も語らないとね。自然の恵みを受けながら、人はまたどうつきあい共生してゆくかですね。「どんぐり論争」はそんなことを考える入り口になった気もする。
★高野意見──まったくねえ、イワシをたくさん食べましょうという意見に「鯨の餌が減ってかわいそう」と噛みつくようなもので、こういうオセンチな環境保護派くらいくだらないものはないですよ。市は十勝一帯のリスの生息数とそれが必要としているドングリの量について大規模な実態調査を実施すべきでしょう。▲