4月18日に都内で開かれた棚田・大豆畑トラスト初会合は、30人余りの会員の方々が集まり、鴨川側から藤本国王はじめ石田、田中、高野らが鴨川王国の現状、トラストの意義と決まり事、年間日程などを説明、質疑・討論のあと、近所の居酒屋で懇親会を開き、さらに一部は麻布十番「はじめ」(新井亭主も会員)になだれ込んで大いに盛り上がりました。
次の鴨川集合は5月6日(土)昼すぎに現地集合、午後1時から田植え作業。昼食は1時までに各自済ませておいて下さい。夕方から山賊小屋で大宴会とサウナ、翌日は8時に朝食をとり午前中一杯作業して昼過ぎ解散となります。
トラスト会員はもちろんのこと、非会員の農林業ボランティアの方々も一緒に、トラストされた棚田4反歩に苗を手植えします。土日で全部を手植えするのは無理なので、やれるところまでやって後は石田さん、福田さんら現地の農家の方々にフォローして貰うことになります。
日照りが強いので、帽子、長袖シャツ、タオルは必須です。脚は膝近くまで泥に入るので、短パンかトレーナーをまくり上げるのがいいでしょう。足は一応、現地に“田植え足袋”を用意していますが、自分でそのようなものを用意して頂いても結構です。
宴会へのお酒の持ち込みは大いに歓迎します。宿泊は、山賊小屋(男性)、ゲストハウス(女性)、ツリーハウス(2家族ないしグループ)のいつもの場所のほか、村の青少年センターを予約しているので、それらに分散します。それでも溢れる場合はテントを張ります。宿泊、宴会、朝食込みで6000円です。
車の方は、高野ホームページ内「鴨川自然王国」サイトの「交通ガイド」で地図をよくお確かめ下さい(http://www.smn.co.jp/takano/kamogawa.index.html)。
車でない方は、浜松町10:00=東京駅八重洲口10:20発「京成高速バス・アクシー号」に乗って「福祉センター前」下車(12:16着)、そこまで王国から迎えに行きますので、あらかじめバスの予約を済ませた上(フリーダイヤル0121-889-055)現地にその旨お知らせ下さい。なお高速バスの時刻表、乗り場など詳しい案内は鴨川市役所ホームページ内にあります(http://www.awa.or.jp/home/kamogawa-city/highwaybus.html)。
なお今回は人数も多く、宿泊の準備の都合がありますので、参加者は高野宛メール(takano@smn.co.jp)もしくは現地宛電話(上記)でお知らせ下さい。
鴨川自然王国 事務局電話 0470-99-9011 ファックス 0470-98-1560
山賊小屋電話 0470-98-1011
※当日、集合時間を過ぎると事務局全員も山賊小屋に上がっていることが多いので、その場 合は小屋に電話してください。
●次の帯広集合は5月26〜28日です!
ドングリ論争に揺れる帯広を訪ね、渦中の人=平林英明さんと大いに酒を酌み交わし、新緑の原野での乗馬トレッキングや然別湖ツァー(予定)を楽しみます。原則的に、26日(金)羽田発7時40分JAS151で帯広入りし、28日(日)帯広発19時25分で帰京します。
もちろんご都合で1日遅れるとか、日曜日に早めに帰るとかはご自由ですが、あまりバラバラだと現地側の空港送迎が大変なので、出来るだけ基本日程に沿うようにお願いします。参加希望と予定を高野までお知らせ下さい。航空チケットは“早割”で取るとだいぶお得です。
●米ヌカ農法
鴨川の石田さんは、月刊『現代農業』5月号の特集「広がる米ヌカ除草」に刺激されて、今年は米ヌカ除草法をやってみたいと言っています。こんな雑誌を取っている都会人はあまりいないので、「米ヌカ農法」とは何か、要点をまとめておきます。
(1)米ヌカは「米の命」
脱穀された米(それが玄米)は、表皮部、胚芽部、胚乳部から成っている。胚乳部はデンプンという形でエネルギーを蓄えているタンクであり、子孫を残す生命の元である胚芽部にそのエネルギーを供給する。普通われわれは、精米して胚芽部と表皮部を取り除き(それが米ヌカ)、胚乳部のみ(それが白米)を食べているわけだが、生命そのものと言っていい米ヌカには、リン酸や各種のミネラル、ビタミン、油脂成分などの有用成分と、命を守るための抗酸化物質が含まれている。玄米全体が持つミネラルやビタミンの95%は米ヌカに含まれ、白米に残るのはわずか5%である。古来、日本人はこの米ヌカを、素肌洗い(石鹸)、食器の油取り(洗剤)、漬物床、家畜や小鳥の飼、畑の肥料、脚気の薬(卵黄と混ぜる)など、米ヌカを多彩に使いこなしてきた(この米ヌカのパワーと魅力については本通信No.10を参照)。
(2)米ヌカを積極利用する農法
従来から農家は、米ヌカを農業生産に取り入れてきたが、かつては単に、堆肥をつくる際に米ヌカを混ぜて有用微生物の繁殖による発酵を促す素材として利用するのが主だった。が、近年はもっと積極的に、米ヌカ主体のボカシ肥(米ヌカや魚カスなどを発酵させた有機質肥料)を作って田んぼに入れて稲の生育を促したり、米ヌカそのものを直接、田植え後の田んぼに散布して雑草を抑制したり、稲刈り後に米ヌカを元肥として鋤込んで土壌を改良したりする「米ヌカ農法」が広がりつつある。
米ヌカは、他のヌカ類に比べて、乳酸菌や酵母などの微生物が好む粗タンパクや糖類はじめビタミン、ミネラルが豊富かつバランスよく含まれており、また発酵微生物に必須のリン酸も多いため、大変すぐれた微生物の培地になる。その米ヌカを田んぼに入れると、田んぼ全体が「トロトロ層」と呼ばれる糠漬けの床のような強還元(酸素が少ない)の発酵の場を形成し、そこで乳酸菌などの微生物が猛烈な勢いで繁殖し、その微生物を食べるイトミミズなどの小動物も繁殖する。
イトミミズは、土壌の粒子と一緒に微生物や有機物を食べて生きているので、絶えず土をかき混ぜるので、その結果、雑草の種子が土に埋没して発芽できなかったり、発芽しても根が浮き上がったりして、雑草が抑えられる。雑草が生えると土は酸化するが、イトミミズで雑草を抑えれば、その酸化を防げるだけでなく、さらにトロトロ層が発達する。
トロトロ層では、有機物の分解によって窒素(アンモニア)が生成されるとともに、米ヌカからリン酸も解け出すので、これらの肥料分が他の細菌や有機物と一緒に田の水面に放出されるので、水中の養分や微生物、藻類が増える。すると、それを餌にするミジンコなどのプランクトンが増え、それらはやがて遺体となって土に戻り、再びイトミミズに利用される。そういう田んぼなら、ドジョウなどの魚も増え、それを獲る鳥もやってくる──という形で、トロトロ層の形成を中心とした多様な循環的生物空間が発展する。
トロトロ層はスポンジ状に稲の根を包むので、保水力を強める。また米ヌカの養分と微生物の働きで米の食味もよくなる。こうして、米ヌカ農法は、誰でも取り組める、お金のかからない有機無農薬の米作りへの道を大きく切り開いた。
(3)数々の実践例
◆田植えの1週間後に反当たり約100キロの米ヌカを散布し、10センチ程度の深水を続けたら、他に何もしなくても雑草はほとんど出なかった(山形おきたま産直センター・渡辺賢一)。
◆5aの田に米ヌカに水を加えて団子状にして30キロを散布し、雑草はゼロだった(福島県富岡町・遠藤正彦)。
◆田植え1週間後に10aに225キロ、土が見えなくなるくらい散布したところ、除草剤を使った周囲の田んぼと変わらない効果があり、稲の生育もよかった。タマネギ畑でも効果があった(愛媛県小田町・川中啓三)。
◆田植え1週間後に10a当たり約50キロを散布、田んぼの地表にトロトロ層が出来、エラミミズやミジンコが発生し、蛍も相当増えた。有機物やボカシ肥を施用する、浅く耕起する、深水管理するなどの方法と組み合わせるのが効果的(千葉県一宮市・斎藤繁雄)
◆田植え1週間後に10a当たり120キロを散布、15〜20日でトロトロ層が出来て雑草は発芽しても土に沈んでしまう。意外な効果として、ジャンボタニシの活動が弱まり、他の田に逃げたものもいた(鹿児島県市来町・橋口正道)。
というわけで、あの地獄の炎天下の草取りを軽減するために、ぜひ米ヌカ農法を取り入れましょう。▲