農と言える日本・通信 No.55  2001-08-23      高野 孟



●8月の鴨川集合とお祭りは暑かった!!

 8月の鴨川集合は4〜5日に行われ、人数は7〜8名で少なかったですが、炎天下、大豆畑・サツマイモ畑・果樹園の草取り、ジャガイモ掘りなどをこなしました。大豆畑はけっこう悲惨で、撒いた種の半分も芽を出していない状況で、カラカラに乾いた地面には雑草のほうが多いくらいですが、しかしその雑草も去年の今頃は密集するほど生えていたのに、今年はその10分の1も生えていない。雑草も生えない猛暑ということです。収穫は余り期待できません。

 田んぼもカラカラで、粘土質の地面はクレバス状のひび割れが走って稲はつらそうでした。下の「大山千枚田」やもっと下の街道沿いでは枯れて茶色に変色したり、実が付かないままの稲も目立っています。千枚田は100組以上の都会人の棚田オーナーがいるので市当局も必死で、散水車を回して水を補給したりしています。しかし我々のところは山の上なので、まだ少しは気温が低く、山の浸み出し水が僅かでもあるのでしょうか、枯れている稲はなく、株は大きく育っていないけれども付いている実は大粒で、量は少ないが質のいい米が獲れそうです。

 22日の台風で久方ぶりの大雨が降って、田んぼは潤いを取り戻したものの、反面、風で倒れたところもあって心配されましたが、石田三示さんによると稲刈りには影響がないとのことで、ひとまず安心しました。

 私と2名の屈強な青年は7日の大山不動尊のお祭りで御神輿担ぎに参加しました。このお祭りは元々雨乞いの行事で、昨年と一昨年は、お祭りの最中に本当に雨がパラついて「さすが!」という感じでしたが、今年はその御利益も現れませんでした。

 次回はいよいよ稲刈りで、9月8〜9日です。稲刈りは楽しいですから奮ってご参加下さい。詳しい案内は「鴨川自然王国」ホームページを(http://shizen-ohkoku.smn.co.jp)。

●8月の帯広集合は涼しかった!!

 帯広集合は15〜19日に行われ、平均17度程度の「もう秋」という爽やかな空気の下、釣りと乗馬を楽しみました。私と居酒屋「はじめ」の新井さんは15日朝に現地入りし、牧場の小屋で昼間からビールを飲んでブラブラしたり昼寝をしたりするうちに、遠軽から北海道一の熊撃ちで日本一の蜂蜜取りの花田さんとそのお友達の「ママさん」、アシスタントの須藤さんが3時間車を飛ばして来てくれたので、そのまま宴会。翌日は遠軽に行ってオショロコマ(北方イワナ)を釣ろうということになって、5人で60〜70尾釣って花田さん宅で唐揚げにして宴会。翌日も軽く釣りをして帯広に戻ると、小学館の女性編集者で渓流釣り名人の箕形さんが単独で、また連合の鈴木さんが家族3人と共に札幌から汽車で、それぞれ合流、その夜は現地のメンバーも集まってまたまた大宴会となりました。

 18日は、箕形さんと鈴木一家は鹿追方面の穴場にオショロコマ釣りに出かけ、私と新井さんは朝から牧場にいる「ユメ」とその子供の「アラシ」に騎乗。アラシは一昨年生まれて、まだ一度も本格的に騎乗していないので、今日はハミと鞍を着けて少し慣れさせようということで、恐る恐る試みたのですが、驚いたことに、ハミも鞍も平然と受け入れて、馬場で騎乗しても親の後を付いてちゃんとペースを合わせて歩いたり走ったりします。「これなら大丈夫だな」という判断で、ユメに私が乗って、アラシに新井さんが乗って外へ出て、舗装道路から砂利の林道に入って拓成湖畔まで往復しました。調教も何もしていないのに乗れるのは、生来の性格が親に似て素直で利発であることに加えて、生まれたときから親と一緒に自由に過ごして性格に歪みがないこと、これまでも外乗の時には(裸馬のままで)親の後に付いて隊列に加わったりしてそれなりに学習してきたことなどによるのではないかと想像されます。鞍をつけただけで飛び跳ねて振り落とそうとするのが当たり前なのに、これにはさすがにたくさんの馬を飼った経験のある平林さんもビックリしていました。

 私と新井さんは18日最終便で帰京し、箕形さんと鈴木一家はもう一泊して帯広の夜を楽しみました。

●諫早湾干拓事業の中止を求める緊急アピール!!

WWFジャパンの菅波さんから次の至急報が届き、私も「緊急アピール」に賛同しました。

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このメールは、諫早湾干拓事業に関連してお世話になっている方、諫早干潟緊急救済東京事務所をご支援いただいている方にお送りしています。

諫早湾干拓事業の「時のアセス」に対し、急遽緊急アピールを出すこととしました。賛同〆切が 8/22(水)という急な話ですが、皆様方のご賛同を頂きたくよろしくお願い申しあげます。(もちろんこの呼びかけは転載歓迎です)

参考までに関連する報道情報も添付しておきましたのでご覧下さい。今後ともご指導・ご協力を頂きますようよろしくお願いいたします。

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みなさま

 諫早湾干拓事業について、九州農政局のもとに設置された国営事業再評価第三者委員会が、「事業中止」の結論を出す可能性が出てきました。これはいわゆる「時のアセス」と呼ばれるものですが、農水省が設置した第三者委員会が、農水省の事業継続方針に反して事業中止を宣告することになれば、98年度から実施されている「時のアセス」においても初めてのケースです。

 農政局側からの巻き返しも予想される段階ですが、この機会に諫早湾干拓事業の中止を方向付けることができるよう、緊急に以下のアピールに賛同を募り、8月24日に開催される第三者委員会の最終会合の前に農水省側に提出することとしました。

 賛同いただける団体・個人の方は、8月22日(水)までに、下記の諫早干潟緊急救済東京事務所までメールまたはFAXで回答をお願いします。

<とりまとめ団体>
諫早干潟緊急救済東京事務所
〒171-0032  東京都豊島区雑司が谷3-7-3 ベルビュー目白701
TEL/FAX 03-3986-6490
E-mail isahaya@msj.biglobe.ne.jp

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        諫早湾干拓事業の中止を求める緊急アピール

                   呼びかけ団体:諫早干潟緊急救済本部
                       諫早干潟緊急救済東京事務所
                             WWFジャパン
                          日本湿地ネットワーク
                      有明海漁民・市民ネットワーク

 諫早湾干拓事業について、私たちは、事業の第一の目的である営農計画が非現実的で、必要性にも乏しいこと、第二の目的である防災については、効果が不完全で、別途総合的な防災対策が不可欠であること、さらに事業の環境への影響として、諫早湾の貴重な干潟生態系を消滅させ、有明海全体の海洋環境にも大きくダメージを与えることを理由として、事業の中止を訴えてきました。

 8月18日に開かれた、九州農政局の国営事業再評価第三者委員会では、諫早湾干拓事業について、農政局側が計画通り事業推進の諮問案を提示しましたが、第三者委員から、事業の問題点を指摘する声が相次ぎました。その問題提起の内容は、
 「営農計画の収穫見込みが高すぎて、実現の見込みが低い」
 「周辺環境への影響が大きく、別途、国が調査を進めている段階では結論が出せない」
 「事業に伴う、干潟の水質浄化機能の喪失など、外部不経済を考慮すれば、事業の効果は、費用を下回る可能性がある」
 と言った主旨のものであったと報じられており、これは私たちや、多くの研究者などからも指摘されてきたことです。

 今や、諫早湾干拓事業を推進する根拠は根底から揺らいでいます。この様な状況で、事業を継続することは到底許されません。私たちは、別記の賛同団体・個人とともに下記の3点を緊急に要請します。

                                    記

1. 国営事業第三者委員会委員長(九州共立大学工学部 黒田正治教授)に対し、第三者委員会委員長は、第三者委員会の意見として、諫早湾干拓事業の中止を提言すること

2. 農林水産省九州農政局長に対し、九州農政局長は、国営事業再評価による今後の事業実施方針案において、諫早湾干拓事業を中止とすること

3. 農林水産大臣に対し、農林水産大臣は、諫早湾干拓事業を中止し、地域の防災対策と諫早湾干潟の再生を両立させる方策について関係省庁、自治体との協議を開始すること
 

                             賛同団体・個人名を列記

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<参考:18日の第三者委員会に関する報道2件>

題名   :朝: 第三者委に諌早干拓の継続諮問 九州農政局
登録日 :01/08/18

朝日新聞ニュース速報

 九州農政局の事業を対象とした「公共事業の再評価(時のアセス)」の第三者委員会(委員長・黒田正治九州共立大教授)が18日、熊本市内で開かれた。同農政局は諌早湾干拓事業(長崎県)について「事業継続」を第三者委に諮問したが、委員からは事業への疑問が相次いだ。
 同事業をめぐっては、費用対効果への疑問や、ノリ不作など有明海漁業への悪影響を指摘する声がある。第三者委はこれまでに3回開かれ、環境問題や干拓地での営農計画などへの疑問が委員の間から出ている。だが、九州農政局は諮問の中でいずれも「問題はない」としている。
 この日の会合では、委員から「環境への悪影響を考慮する必要がある」や「ノリ不作問題を検討している農水省の第三者委員会の結論を待つべきだ」「(干拓農地ではなく)遊休農地などの活用を」などの意見が出された。
 第三者委は諮問を基に事業を評価し、今月下旬に開く予定の次回会合で「継続」か「見直し」、「中止」などを同農政局に答申する。ただ、最終的な再評価は同農政局が判断するため、答申と異なる結論を出すことも制度上可能となっている。
 時のアセスは、事業決定から一定期間が経過した公共事業について、社会情勢の変化などを踏まえ、妥当性を審査するもの。第三者委は時のアセスに客観性を与えるための機関で、民間の有識者で構成されている。
[2001-08-18-14:03]

01/08/19 長崎新聞

九州農政局が諮問した諌干事業継続に厳しい意見

九州農政局の国営事業再評価(時のアセス)第三者委員会は18日、熊本市内で第4回会合を開き、農政局側が国営諌早湾干拓事業について今後も計画通り「継続」が妥当とする再評価案を諮問した。これに対し委員からは「費用対効果」や「干拓農地の必要性」などをめぐり疑問が相次ぎ、今月24日の答申で何らかの「事業見直し」を求める可能性も出てきた。
 会合は非公開。終了後に記者会見した上野敏光整備部長によると、農政局は「継続」の理由として▽干拓地周辺は県内農業の中核的地域で事業による優良農地の確保が期待されている▽潮受け堤防完成で高潮、洪水など防災効果を発揮し地域住民も高く評価している―などを挙げた。干拓工事中断につながった有明海ノリ不作問題については「排水門を開けた調査が検討され、調査に当たっては周辺関係者の理解が必要とした。これに対し、委員からは「費用対効果の見直しが必要ではないか」「営農計画の実現性に乏しい点もあり、事業見直しも必要」などの意見が出たほか、ノリ不作に関連した「排水門を開けての調査結果を待たずに実施方針が出せるのか」との慎重意見もあった。農水省は答申を受けて、諌干事業の実施方針を決め今月末に公表する予定。農政局は答申について「第三者委の意見として尊重するが、実施方針を決めるのは農水省」としており、実施方針にどう反映させるかは微妙。

●「自家採種」に関する書籍発行への協力お願い!!

 インサイダーの在シドニー通信員でジャーナリストのリック田中より以下のお知らせがありました。彼自身もシドニー郊外の原野で開拓農民的な暮らしをしています。あちらは今は冬です。遺伝子組み換えに対するこういう対抗策があるというのが面白いですね。

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 今年の冬はあったかいなあと思っていたら、今朝は雪。すでにご存じかもしれませんが、下記、送ります。よろしく、です。リック

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自家採種に関する書籍発行への協力お願い

 秋冬野菜の準備に心急かされる時期となりました。皆様にはご健勝のことと存じます。
 このご案内は、「自家採種ハンドブック出版委員会」の関係者、及び、それに協賛、支援する方々より、個別に郵送させていただいております。重複しました場合は、お許しください。

 かねてより自家採種、ひいては在来種、伝統野菜などの保存・育成に関しては、その重要性が指摘されてまいりましたが、昨今の種子を巡る情勢の中で、その意味はますます大きくなってきています。その一方で、自家採種を実践される方は数多いものの、一般人が自家採種について知ることのできる書籍はほとんど見あたらず、また、相互に情報交換をしようとしても、多くのチャンネルはあるものの、なかなか一般の人々の目に触れることが困難でした。

 このような折に、オーストラリアで自家採種の運動を進めている「シードセーバーズ・ネットワーク」の方々が昨年来日され、彼らが出版してきている「自家採種ハンドブック」を邦訳できないかという話が持ち上がりました。これを受けて本年1月に「出版委員会」が発足、翻訳を進めるとともに出版社を確定し、ようやくこの秋に発行の目途が立ち
ました。

 この本は、翻訳書をベースにしながらも、日本の事情に合わせ、種苗に関して国内第一線級の農家、研究者の手によって大幅に加筆・改訂を行ったものです。もちろん、将来的には日本独自の「ハンドブック」を編集する必要があるでしょう。しかし、当面はこの翻訳書1冊でも、大きな影響を与えるものと確信しております。

 原著は、種子を巡る背景を概説するとともに、もっぱら作目ごとにポイントを解説したものです。「出版委員会」では、何よりも、この本を手にした読者が、行動を起こせることを願って編集しております。そのような観点から、次の2つの記事を、併せて掲載する予定です。

・「たねとりくらぶ」へのお誘い
 地域で自家採種をする人々が独自につくり上げていくグループの呼びかけです。そういったグループを仮に「たねとりくらぶ」と呼んで、それをつくって自家採種種子を保存、発展させていこうという趣旨です。

・連絡先のリスト
 本を読んで自家採種に興味をもったり、上記呼びかけに呼応してグループをつくろうと感じた人が、では具体的に誰に連絡をとったらいいのかを記したリストです。このリストには、種子の入手先である種苗店や伝統野菜の情報をもっている機関、市民団体などに加えて、何よりも各地で実際に自家採種に関心をもち、取り組んでおられる実際家の方を掲載したいと思っております。実際に種子をとる人たちが相互の連絡をつけ、地域内で、地域にあった情報や種苗を交換していくことが、最も重要と考えるからです。

 現在、上記のように準備を進めておりますが、この「連絡先のリスト」(仮称ローカルシード・アクション・リスト)に関して、ご協力を賜りたく、お願いを申し上げます。スペースや日程の関係上、別紙のような書式を用意しましたので、お手数ですが、8月27日までに郵送、もしくはファックス、電子メールにてご回答いただければ幸いです。

 突然のお願いで恐縮ですが、どうか趣旨をご理解の上、ご協力を重ねてお願い申し上げます。

 なお、本書の書名は現在「種とり入門──ベランダから畑まで」、定価は2000円を予定しております。今後、多少の変更がある可能性もありますが、出版委員会宛ご予約を頂ければ幸甚に存じます。

  自家採種ハンドブック出版委員会
   本野一郎  兵庫県有機農業研究会
   松本 淳  「百姓天国」編集委員
   後藤雅晴  風媒舎ネットワーク(IT支援)
   福本麻由美 セカンド・デスク(翻訳在宅ワークグループ)
   福本裕郁  「自給をすすめる百姓たち」世話人
   平田理子  パーマカルチャリストNW
   坂番まさみ シード・セイバー(種採り見習い)

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ローカルシード・アクション・リスト 用 記入フォーマット
FAX送付先 0794-84-0063
                          掲載可否(○か×)
お名前(団体名)                  |
ご住所                       |
電話番号                       |
FAX番号                        |     
電子メールアドレス                  |  
ホームページアドレス                 |      
 

以下は、該当するものだけを残してあとは削除してください。または(  )等にご記入ください。

分野     自家採種実践   市民団体   種苗店   公的機関   研究者
その他(                        )

種苗について  交換可能   情報提供可能   販売   技術アドバイス
その他(                        )

特に専門とする作目(あれば) (                    )

種子に関する自己紹介(80字以内。必ずご記入ください)
(例 ××県で、30年間キュウリの自家採種を続けています。ウリ科全般に興味があります。)
 

該当するものを■に変えてください。
 □書籍への掲載を許可する
 □書籍への掲載は許可しないが、今後も個別の照会には応じる
 □掲載も、本書に関する今後の連絡も不要

■本書の予約  (    )冊

 郵送先 〒673-0515 兵庫県三木市志染町三津田1205-1 福本裕郁
 電子メール送付先/自家採種ハンドブック出版委員会代表アドレス:
 seedsavers@fubyshare.gr.jp

●農文協の甲斐さんからお便り!!

 上記に関連して、農文協の『現代農業増刊』編集長の甲斐さんより次のお便りがありました。私も早速『への字は死なず』の本を申し込みました。

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 「自家採種の本」情報ありがとうございました。「たねットワーク」(同名で複数存在)などの自家採種、在来種・固定種愛好グループに流してみたいと思います。

 ところで、「除草剤を使わない稲つくり」http://www2.ocn.ne.jp/~josonet/index.html
というHPをご存知でしょうか?

『このホームページは、「井原基金」の援助をいただいて運営されています。「井原基金」とは、追悼集「井原死すともへの字は死せず」の出版の収支が黒字になったので、その剰余金を当てたものです。まだ少し残部あります。定価2000円(送料サービス)でお送りします。
   世話人  山下正範  〒672−8002 兵庫県姫路市北原328ー4
   TEL&FAX 0792−45−0576』

 というもので、山下氏は元農文協職員の帰農組です。下記は甲斐が「神戸新聞」8月2日「随想」で書いた、井原さん追悼にことよせた「井原死すとも〜」(自主出版)の宣伝です。

『への字は死せず』

 先日、太子町佐用岡の井原英子さんから職場に黒々と輝くたくさんのみずみずしい茄子を送っていただいた。
 会心の作なのだろう。同封の手紙には「突然でビックリされるとは思いましたが、主人が他界して今年で五回目の米・野菜つくり。すごく美しいのができましたので皆様でご賞味ください。完全無農薬です。主人の本や日記などを見ながら頑張っています」とあった。
 亡くなった井原豊さんは全国の農家に親しまれた「現代の篤農家」だった。この春講演で訪れた愛媛県内子町でも「井原さんは残念だったなあ」と目を赤らめて話しかけてきた初老の農家がいた。
 篤農家といっても井原さには訥弁でストイックな東北型の篤農家のイメージはなかった。達筆、饒舌にして軽妙洒脱。その技術のエッセンスを伝えるためには徴底的に表現を砕く。
 たとえば「への字型の稲作り」。人を食った命名だが、細かな施肥技術や水管理が必要な官製技術の「X字型稲作」をひっくり返し、「惰農のええ加減稲作」でも稲や田んぼの自然力を引き出せば立派に米が穫れることを実証した。
 さらに井原さんは「兼業農家の味方」でもあった。自身も兼業で白バイ警官や自動車学校教官、経営コンサルタントなどを務め、定年後専業となった「定年帰農」のはしりでもあった。その職歴からも採算を度外視しがちな篤農技術と一線を画し、低コスト、減化学肥料、減農薬の稲・野菜栽培から農家のクルマ選び、農家経営に関するものまで著書八冊とビデオ二巻を残した。
 全国のファンによって編まれた追悼集はその名も『井原死すともへの字は死せず』。
姫路市の農家・山下正範さんが頒布している(電話0792・45・O576)。
 焼茄子でビールを飲みつつその笑顔を偲んだ。

●明後日からウズベキスタンに行ってきます!

 25日に関空から直行便で発って、110人の大団体でウズベキスタンに行きます。「オペラ『夕鶴』中央アジア公演支援ツァー」ということで、ついでに同国の世界遺産を巡ってきます。農にはあんまり関係ないですが、食には関係があるので、また報告します。では皆さん、残暑に負けずに励んで下さい。▲