ミンスク便り


9月に慌ただしく始まった長男の小学校生活も、あっという間に9か月が過ぎ、5月25日で最初の一学年が終わって夏休みに突入しました。全学年での修了式(「最後のチャイム」)を終えた後、最終学年の生徒は卒業試験を経て、卒業式(皆着飾ってパーティー)、そして進学希望者は大学受験へと進みます。大学入試も最近は、日本のセンター試験のようなマークシート式の全国統一試験が導入され、競争も激しくなっているようで、彼らにとってはまだしばらく、試練の時が続きます。他の学年については、日本の倍も長さがあるのに、こちらの夏休みは宿題もなく、もちろん水泳教室もラジオ体操もなく、心配になるほど自由です。冬の長い北国では、短い夏の間はせめて少しでも外で太陽の光を浴びるように、という心遣いもあるのでしょうか。学校では、親が共稼ぎで子どもの面倒を見られない場合などを想定し、1か月間は低学年の子どもを預かってくれる「学校キャンプ」なるものが実施されています(学童保育の夏休み版のようなもの)。無料ではありませんが、食事も出ることを考えれば格安で、一日家でだらだら過ごすよりよっぽど良さそうです。ただ、これを利用したとしても残り2か月は、その他の過ごし方を考えねばならないのですが。ところで来年からは、1週間だけ夏休みが短くなり、6月1日から休みとなるそうです。これは、つい先日正式に決定した、最新の教育制度改革の内容の一つです。

旧ソ連からの独立後、ベラルーシの教育制度は、さまざまな実験的改革が続いています。上記の夏休み短縮を含めた今回の変革内容で最も重要な点は、諸外国に合わせる目的で12年までに延長されていた学校制度が、再び11年に戻されるというものです。しかもこの措置は、この9月に始まる新学年から、全学年に適用されるというのです。つまり、この夏卒業するのが11年制度の最後の卒業生で、現10年生からは12年生まであと2年学校に通うはずだったのが、今回の変更で、それぞれ1年短縮されてしまった訳です。結局、12年での卒業生というのは、出なかったことになります。特に大変なのは、現10年生で、あと2年かけて履修する予定だった内容を、1年で終えなければならなくなったのです。大学受験にも備えなければならず、本人たちはもちろん、教師の負担も増大することが懸念されています。11年制に戻した主な理由は、「12年は長過ぎる」という単純なもの。これは、多くの人が感じているようですが、結局はまたしても「ツルの一声」で決まったようです。同時に、一部の科目が削除・変更になるということでもあり、何とこれから新学年の始まる9月までの3か月で、全学年の履修プログラムを全て見直さなければならないのですから、恐ろしい事態です。我が家でも、自分たちの子どもがいったい何年間学校に通うのか、という基本的な問題があります。就学年数など気にもせず入学させ、「12年」と学校側から確認されたのが最初の保護者会の時。結局、11年となりましたが、この調子では、これから10年の間にまた変更がないという保証もないのです。

最後に、子どもに関連した最近のニュースをもう一つ。これまでベラルーシ人の子どもがパスポートを取得する場合、発給時点の年齢に関わらず、16歳の誕生日までが期限とされていました。これを改め、期限を5年にすることが決まりました。これまでのパスポートでは、赤ちゃんの時にパスポートを取得すれば、その時の写真を替える必要もなく、16歳になるまで使用されることになっていました。最近は外国に出かける子どもも増えているため、国境での本人確認に支障が出ているということで、今回の措置がとられたのです。これについては、すでに発給されたパスポートについては変更の必要がないということで、我が家の長男のパスポートも、あえて変更しなければ、8か月の赤ちゃん写真のまま、16歳まで使うことになりそうです。  

(花田朋子 ミンスク在住)

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