チェルノブイリ報告


2003年の子ども基金からの支援に対する、現地救援団体からの報告の一部をご紹介いたします。みなさまからのご支援で、被災地の子どもたちの救援活動が続けられますことを、心よりお礼申しあげます。

■サナトリウム「希望21」(ナデジダ)医療センター

超音波放射器検査を受けた684名のうち、226名に甲状腺異常が見つかり、131名は今回の検査で初めて異常が見つかりました。出張検査は、10月13日から5日間、ゴメリ州ホイニキにて行いました。

心電図器検査は、1207名の子どものうち97名が、肺機能検査は162名の子どものうち95名が、自動角膜屈折計検査は543名の子どものうち224名から異常が見つかりました。

(医療センターリハビリ部主任 E.チャエフスカヤ)

■「家族の救援」医療センター

キエフの避難民居住地にある診療所。サナトリウム「南(ユージャンカ)」や、外国に保養に行く子どもたち、避難民の子どもたちが利用しています。超音波診断器、放射線値検査器、内視鏡などの医療機器を子ども基金から支援されました。腹腔の内視鏡検査を受けた13才以上の子ども14名全員に胃の病気が見つかりました。体内放射性セシウム値の検査を受けた425名の子どものうち、56名に300キュリー以上のセシウム137が見つかりました。現在、1才までの子どもがいる280世帯に乳児栄養が、12才までの子どもがいる59世帯にビタミン剤が、52世帯に予防用練り歯磨き(カリエス治療)が配布されています。

(医療センター所長 L.プリレプスカヤ)

■キエフ・リハビリセンター

避難民の子どもたちの精神的リハビリのための教室。家族の救援事務所、医療センターと同じ建物にあり、教師の給料、運営費などを子ども基金が支援。

刺繍教室「ナデジダ」
「ナデジダ」では、裁ち方・縫い方、マクラメ(飾り用の刺繍)、手縫い刺繍、編み物の授業を週1〜2回行いました。3人の先生が担当し、週1〜2回、11〜14人の子どもたちが参加しています。授業以外では、156以上の手工品の製作、「チェルボナ・カリーナ」の舞台衣装123着の製作と、使い古した60着の修繕、ユージャンカのスタッフ20着分の作業服を裁縫しました。
(ナデジダ責任者 I.シゾニェンコ)

絵画教室「レレチェーニャ」
絵画教室でのレッスンは週2回、6〜12歳の子どもが参加しています。この教室では、水彩やグワッシュ絵具などの描画技術、色チョークや色鉛筆、墨やペンなどの線描技術、折り紙やアップリケ、コラージュなどの手芸を学びます。また、昔の名人の名前を覚えたり、日本やドイツの伝統、絵画技術についても学びます。子どもたちは学校帰りに絵画教室に来るので、宿題等との兼ね合いを考慮したり、興味や好奇心をなくさないようレッスンを変えたりといった工夫をしています。
(指導担当 A.ゴルブノフ)

ウクライナ子ども民族音楽団「チェルボナカリーナ」  
50人の子どもたちが年齢別の3グループごとに週5〜6時間練習を行っています。2003年は、レパートリーに新しい歌と踊りを加えました。外国での公演をはじめ、サナトリウム「南(ユージャンカ)」、「第4回国際医学会議」、映画館(500人)など、18のコンサートと13の娯楽行事を行いました。年齢オーバーの団員がなかなか音楽団から離れようとしないほど、喜んで練習しています。
(アンサンブル代表 T.トレパック)

■ウクライナ内分泌研究所

甲状腺の摘出手術を行ったり、放射性ヨード治療を行っています。チェルノブイリ子ども基金からは1999年末から、甲状腺手術後の子どもたちのための医薬品を支援いただいています。

2003年の下半期において、817人の子どもたちがチロキシンを、112人の子どもたちがカルシウムを、33人の子どもたちがリストール(活性化ビタミンD剤 副甲状腺も摘出してしまった子どもたちのための医薬品)を受け取りました。

(O.エプシュテイン医師)

 

次へ / ニュース目次へ