◆この冬は前半が暖かく、雪もほとんど降らなかったのですが、1月半ばから雪が積もり、ようやく冬らしくなりました。3月1日は春の始まり、と言われます。今年は冬の訪れが遅かった分、春も遅れているようです。ここ数日は日中の気温がマイナス10℃程度と冷え込みが厳しく、巷ではインフルエンザの流行が一段落したようですが、まだまだ寒さは続きそうです。
◆冬の間は何かと行動が制約されますが、それでも子供たちは元気です。寒いからと言って家の中にばかり居るわけにもいかず、冬は冬の楽しみをみつけ、毎日を過ごしています。一番手軽なのは、ソリ遊びでしょうか。雪とちょっとした斜面があればできます。金属のフレームのついたソリは、比較的小さな子供を乗せて引っ張るのに便利で、ベビーカー代わりにもなります。もちろん斜面を滑ることもできます。少し大きくなった子どもたちは、もっと簡単なプラスチック製のボードを使っています。「ソリ(サンキ)」ではなく、「スプリント」と呼ぶそうです。少し厚みがあって両側に持ち手のついたものと、さらに簡単な一枚のプラスチックで両端がやや反り上がっただけのものの二種類を見かけます。なんとなれば、段ボールやビニール袋でも滑れないことはない。やはり手軽さは一番です。金属フレームのソリには、親が立ったまま押せるような長い手押しがついたものも見かけましたが、プラスチックのものはどれも同じようで、国産の規格品なのか、それぞれ色が違う程度で誰もが同じものを使っています。道具は簡単でも、小さい頃から滑っているので皆、なかなか上手です。ちょっとしたジャンプ台をつくったり、膝で滑ったり、何人かでつながって滑ったり、いろいろな滑り方を楽しんでいます。スノーボードはまだ普及していないようで、店でもあまり扱っていないようです。
道具が要るのでソリのように誰でも、というわけにはいきませんが、スキー、スケートももちろん人気です。スキーはノルディック・スキー、特別の場所でなくとも、公園などで滑っています。山のないベラルーシでアルペン・スキーのできる場所は限られていましたが、この冬、ミンスク郊外にスキー場がオープンし、話題を集めました。ゲレンデは悪くないようですが、スキー靴などレンタルするまでに2時間以上待たされた、という話もあり、またレンタル料やリフト代、コーチ料など合わせると、平均的な市民が家族で行って楽しむにはかなり高くついてしまうようです。そのためか折角出かけて行っても何もレンタルもせず、ゲレンデを散歩したりスキーヤーを眺めているだけ、という人々がかなりいるとか。日本のスキー場では余り見られない光景でしょう。
◆一方スケートは、靴は要りますが、外で水を張っておけば自然にリンクができあがるのでこれも手軽です。屋外のリンクなら滑走料は無料、靴のレンタル料のみです。日本と違いレンタルできる靴はホッケー用なので、慣れないとなかなか難しいようです。アイスホッケーは夏のサッカーと並んで男の子に人気のスポーツであり、多くの子供が小さな頃から親しんでいます。ちなみに雪の上でサッカーをやっている子供たちもいます。北米リーグでプレーしているベラルーシ出身のアイスホッケー選手もおり、ミンスクには欧州最大規模のホッケーリンクを建設するという計画も浮上しています(大統領のツルの一声)。また、この他にベラルーシが強い冬のスポーツとしては、日本であまり馴染みのないバイアスロン(ノルディック・スキーと射撃を組み合わせた競技)が挙げられます。
◆寒いと言っても冬至から2カ月が過ぎ、気がつくと随分日が長くなってきました。春の訪れを喜ぶ気持ちが強くなるのも、こうした長い冬のおかげなのだと思います。
[花田朋子 ミンスク在住日本大使館勤務]
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