私たちはこの春、初めてベラルーシとウクライナを訪ねました。目的は基金が支援している施設や団体の様子を知り、支援のあり方について話し合うことでした。最初に訪ねた学校サナトリウム「ナジェジダ(希望)」での子どもたちとの交流について報告します。
ナジェジダは、年間を通して1km2あたり1キューリー以上の放射能汚染地に住む子どもたちを受け入れる学校サナトリウムです。子ども基金は保養費の一部を援助しています。
保養期間は24日。以前はもっと長かったのですが、新たな法律で2005年度は21日と決められました。ナジェジダは交渉の結果24日になりましたが、政府は更に保養を18日以下とすることを計画しており、今後が心配です。
私たちの到着の前日にゴメリなどから240名の子どもたちが学校の先生に付き添われ到着したばかりでした。普通は午前中に3〜4時間の授業があり、午後はクラブ活動や医療にあてられます。ここには小児科医4名、歯科医、甲状腺の医師、心の専門家2名がいます。医療機器のいくつかは子ども基金が寄贈したものです。それを用いて検査・治療をしているのです。
汚染地の子ども達の健康状況は悪化しているそうです。症状は変化し、以前は40%の子が呼吸器官の病気でしたが2004年には20%に減り、代わりに食道の病気(18%)、心臓に関する病気(15%)が増えています。ここに来る子ども達の92%はいつもどこか具合が悪いのです。
ここの大事な仕事の1つは子ども達に汚染地での生活の方法を教えることです。汚染の影響を減らすための方法として、食べものの選択、特に果物を摂ることの必要性などを教えています。ここで良い食事を取ることで、保養前の20%位にまで体内セシウムのレベルは下がるそうです。
さてベラルーシは26日から4月4日まで春休みで、ナジェジダでも授業はありません。その間、子どもたちはスポーツ、陶芸、木工、手芸、音楽、演劇、コンピュータグラフィックなどのクラブ活動を2〜3選択して行うのです。そのクラブの合間に折り紙や日本語の授業をしたいとお願いして授業が実現しました。
まずゴメリから来たヴァレンチーナ先生のグループの子どもたち30名に簡単な日本紹介を行いました。出発前に長野の小柴さんから寄贈していただいたゆかたや着物を着てもらったり、相撲の真似をしたりして遊びました。
27日午後には、50分の折り紙教室を4回行いました。広島平和記念資料館より寄贈していただいた「Sadako And Paper
Crains」の写真パネルを見せながら佐々木偵子さんについて話し、鶴を一緒に折りました。
翌日は日本語の授業を行いました。カタカナの50音表を示し読み方を考えさせ、次にカタカナで一人ひとりの名前を書いてあげると大変喜んでいました。また、木、林、森、山、川、火、人などを黒板に書きその意味を形から推測することにもとても興味を持ちました。さらに複合した「休」の意味を問うと「雨宿り」などの意見が出て楽しく授業は進みました。
3日間の短い滞在でしたがすっかり仲良くなった子が7歳のアリーナです。最近親が病気で亡くなり、以前保養で訪れたスペインの家族に引き取られることになっていました。とても人懐っこい子で、折り紙教室にも毎時間参加し、他の子に教えたりしていました。スペインで明るく元気に成長することを願っています。
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