ベラルーシ「希望21」
実施期間:2006.7.24〜8.13
参加者:甲状腺手術後の若者と、その他の病気(脳腫瘍、目のガン、白血病)子どもと若者、合わせて66人(16歳〜22歳)
参加者には各自の体調に合ったさまざまな健康回復プログラム(マッサージ、サウナ、アロマテラピー、トレーニング器具を使った運動)が用意されています。また心理学者によるカンセルング療法もあります。ミンスクの病院の内分泌医による検診も行われました。治療の他には、木工・手芸・工芸教室や、若者たちが参加するコンサートやコンクール、サッカーや卓球等のスポーツ大会が毎日のように行われました。子ども基金では毎年、保養参加者が新たな技術や知識を身につけられるようにといろいろな特別授業を企画しています。昨年好評だった「デジカメ」「マッサージ」教室の他に、「ギター」「ダンス」教室が行われました。さらに今年は、就職を控えた若者を対象にした「ビジネスセミナー」を新たに行いました。ミンスクからビジネススクールの講師を招き、面接での自己アピールの仕方、上司や職場の同僚・顧客のコンタクトの取り方などを6日間にわたり詳しく学びました。若者たちからは、このセミナーに大変満足したとの感想がありました。講師からは、素晴らしい若者たちと仕事ができて自分にとっても良い経験となった、という感想がありました。日本人ボランティアによる「料理」「書道」「折り紙」「竹とんぼ」教室も行われました。
ウクライナ「ユージャンカ」
実施期間:2006.8.16〜8.29
参加者:甲状腺手術後の若者・子ども(12歳〜20歳)38人と、その他の病気の子ども12人(14歳〜18歳)
サナトリウム施設である「希望21」とは異なり、こちらは夏だけの保養所のため、専門家による医療プログラム等は行われていません。しかし海が目の前にあることが何よりの魅力です。海水や海の空気は健康回復に役立ちますが、甲状腺手術後の者は長い間強い日差しを浴びてはいけない為、海に行くのは午前中と夕方近くの日差しの弱い時だけです。また子どもたちは必ず付添の大人と一緒に行くことになっています。子どもたちのための催し物は、グループの付添として参加している大人たちによって行われます。室内ではビデオ鑑賞、カラオケ、卓球などのできる施設があります。日本人ボランティア滞在中には、「料理」「書道」「折り紙」「日本語」教室が行われました。
(報告:佐々木真理)
竹とんぼ教室を開催
チェルノブイリ原発事故から20年目の今年、初めて希望21の夏の保養に訪れてきました。支援に関わってきた者として現地を見てみたいという思いと、日本の文化で子どもたちを元気づけたいとの思いから、参加を決意しました。今回、私は「竹とんぼ」教室を開きました。竹がベラルーシには無いと聞いていたのと、子どもたちに時には空を見上げて欲しいと考えて、思いついたのが竹とんぼだったのです。
竹とんぼ教室は2回開きました。予定では、2クラスとも20人の予定で、材料も余裕を持って行ったのですが、当日になったら1回目のクラスは28人、2回目のクラスは26人の参加となり、予備の竹とんぼも使っての教室となりました。竹が珍しい事もあったのか、竹とんぼの作製、色塗りどの作業も子どもたちは楽しそうでした。そして、外に出ての竹とんぼ飛ばしです。最初は上手く飛ばせない子も、ちょっとコツを教えると上手に飛ばしていていました。教室が終った後に宿泊棟にも自分も作りたいという子どももいたり、修理に訪れた子どもと日が暮れるまで竹とんぼで遊んだり、竹とんぼはとても好評でした。他にも日本文化を紹介する時間では、子どもたちと相撲をとったり、盆踊りの手伝いをしたりしました。
特別保養の子どもたちとの「日本のお菓子」を食べる会で、参加者の子どもが「事故後、アメリカなどが支援をしてくれたが、その後無くなってしまった。継続して支援をしてくれた日本の皆様には本当に感謝をしています。そうした日本の方が支援している事がとても心の支えになっている」と話していました。特別保養の子どもたちは、年齢的に分別がつく事もあるのでしょうが、保養費を援助している日本の募金者の方々にとても感謝をしています。そして日本に心配して支援している人たちが大勢いる事が彼らの心の支えなっている、と今回参加してみて良く分かりました。私も改めて、多くの募金者の方々にお礼を申し上げたい気持ちです。そして、今後も可能な限り支援を続けたい、合わせて募金者の皆さまにチェルノブイリ子ども基金を支えて頂ければ、と改めて感じました。
今回開催した「竹とんぼ教室」は上州竹とんぼの会の皆様、特に代表である野村さんには、教室の準備で大変お世話になりました。また、参加に際しては神田さんに大変お世話になりました。この場を借りてお礼を申し上げます。
(報告:中務俊之)
ユージャンカの保養に参加して
約50名の子どもたちとゆったりした時間が流れる一週間を過ごしました。子どもたちは朝食後、すぐそばの黒海で泳いだり陽射しを浴びたりします。砂浜でのスイカ割りは好評で、見事あたると大きな歓声がわき、皆でスイカを頬張る楽しいひとときでした。午後は佐々木さんと折り紙、日本語、習字、料理の教室を開きました。習字では「私はあなたを愛している」を真剣に書いて大事に持ち帰る姿が微笑ましかったです。そして圧倒されたのは夜の集い。ウイットにあふれた寸劇や歌など、いつ練習したのだろうと不思議なほど洗練されたものでした。どこに行っても、どんなときも、若者たちの持つエネルギーは変らず輝いているものだと、こちらも熱くなりました。
しかし、甲状腺の手術を受けてから毎日薬を飲み、将来への不安を抱えている姿を垣間見ることもありました。前を見て進もうとがんばっている彼らですが、仲間に会えるこの保養所の開放的な打ち解けた雰囲気は、本当に貴重な空間と時間なのでしょう。そんな若者達が、私たちの出発する直前の真夜中に全員玄関に集まり、「ありがとう」と私たちと抱き合いながら別れを惜しんでくれました。
ユージャンカを訪れて若者達と過ごした一週間は、いろいろいろ考えさせられる毎日でした。そして、こんなにも信頼してくれる若者や子どもたちがいることは、共にこの世界を生きるという大きな喜びになりました。
(報告:小寺隆幸・美和)
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