ウクライナ医療科学アカデミー内分泌研究所 エプシュテイン教授の話



○ 皆さんの支援に深く感謝している。長年に渡りこのような誠実で心のこもった支援は他ではない。たぶん日本は広島・長崎の悲劇を経験しているから、私たちの悲劇を同じものとして感じてくれているのだろう。ウクライナの役人たちは被害者に対して何もしようとしない。皆さんの支援がなかったら私たちはこれまではやってこられなかったと思う。チロキシンも、日本からのお金がなかったら私たちは買うことができない。私はいろいろなインタビユーなどを受けるとき、必ず日本の支援について話している。

○ 17年前から甲状腺ガン患者が現れ始めた。17年間で1570人。年間平均は93人となる。事故前に甲状腺ガンにかかる年齢は55歳くらいからだったが、事故後は7歳〜20歳で甲状腺ガンにかかるようになった。今まで1972人治療したうち、90%が回復した。ガンと診断されると本人も家族も大変大きな打撃を受ける。しかし回復した時、彼らの目に輝きが戻るのがわかる。

○ 今年の1月〜8月だけで200人の患者がいた。役人たちは甲状腺ガン患者の人数を隠している。9月から入院予定(放射性ヨード治療)の患者のリストが手元にあるが、その人数は51人。10月22日まではベッドの空きがないため、新たな患者はそれまで受け入れられない。

○ 事故後国際原子力機関の委員は、人はガンにかからないと言った。その後91年には、チェルノブイリ事故と関係のある病気は甲状腺ガンだけだと言った。フランスとアメリカの専門家はその著書に「事故後40年間、人はガンにかかる」と書いている。

○ これまでに甲状腺ガンの手術を受けた女性のうち200人以上が出産した。以前、産婦人科医たちは甲状腺ガンの手術をした女性が出産することを許可しなかった。私が妊娠した女性たちに出産を勧めたとき、「そんなことをすると刑務所行きになる」と脅しの電話が入ったこともある。幸いにも、今のところ生まれた子どもたちの健康に問題はない。最初に生まれた子どもは今11歳になった。母親も子どもも、検査を継続している。妊娠中はチロキシンの量を10回くらい変える必要がある。自分の休暇中にもそれぞれ妊娠中の患者たちのために、電話でたびたびチロキシンの量を指示していた。

○ どうか日本の皆さん、支援者の皆さんに心からの感謝を伝えてください。いくらお礼を言っても足りないくらいです。

[ウクライナ医療科学アカデミー 内分泌研究所 放射性診断・放射性ヨウ素療法部]

(8月25日研究所内で佐々木真理がインタビュー)

■内分泌研究所ほかの病院への支援

今年度、子ども基金からは医薬品代として300万円、新棟設備費として88万円を支援しました。このほか、放射線医療センター小児産婦人科に超音波診断器52万円、放射線医療センター 小児血液科に医薬品代30万円----以上ウクライナ、ゴメリ州臨床小児病院へ保育器2台とパソコン代計370万円などを支援しました。


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