暖かい10月の後、11月に入って急激に寒くなって2日ほど雪が降り続き、真冬の寒さでしたが、その後再び暖かくなりました。結局例年より10℃近く気温が高いまま、暦上の冬とされる12月を迎えたミンスクです。急に寒くなった時に慌てて窓の隙間に新聞紙を詰めたので、オフィスの私の部屋は窓も開けることができず、集中暖房の効いた室内は暑いくらいです(またしてもエネルギーの無駄)。ここのところ霧のかかる日が多く、窓の外は雪も降っていないのに真っ白、という日もあります。
先日、11月のベラルーシ語名「リスタパッドListapad」を冠した、「ミンスク国際映画祭」が開催され、日本の作品がコンクール部門に参加したこともあって、開会式と閉会式の様子を覗いてきました。今年13回目というこの映画祭、当初は旧ソ連の催しとしてスタートし、現在はその他のいわゆる「遠い外国」からも参加を募って「国際映画祭」として実施されており、今年はコンクール部門参加作品の半数程度が、旧ソ連以外の国からの参加でした。それでも、公式ホームページ、開会式・閉会式もロシア語のみで英訳はつかず、と、ここまでは以前から気になっていた点ですが、今回見ると、「旧ソ連」どころか、「ロシア+ベラルーシ」のイベントになっているという印象をもちました。セレモニーはそれなりに華やかな雰囲気でしたが、ゲストもベラルーシ以外ではロシアの映画人がほとんどで、ある程度国際的な知名度のある俳優なども含まれてはいたものの、ほとんど内輪で盛り上がっている感がありました。ベラルーシの映画業界も不振が続いており、映画祭自体がまるでロシアのためにあるようで、折角参加している他の国々の映画人に対する配慮があまり感じられませんでした。文化的にロシアとの結びつきが強いのは議論の余地がない事実ですが、ベラルーシが内向きになりつつあることがここにも現れていると言ったら大げさでしょうか。こうした傾向を少しでも変えるためにも、今回の参加によって少しでもミンスク国際映画祭の知名度が上がり、今後も日本の映画が参加してその存在感を示してくれることを期待します。
外国文化といえば、ミンスクに「マクドナルド」が開店して、この12月で10年になります。街の一等地にある一号店に続き、鉄道駅前など、市内に計6店舗が次々にオープンしましたが、ベラルーシ当局との関係上か、これ以上拡大する計画はないようです。当初の物珍しさはなくなったものの、地方から出かけてきた人にとっては「訪ねてみたい場所」の一つであり、相変わらずの繁盛ぶり。また、休みの日などは家族連れも多く、おまけのおもちゃなどを手にしている子供もよく見かけられます。ちょっとしたレジャー施設のような感覚をもたれているところが、日本のマクドナルドとは異なる点です。
最後にもう一つフェスティバルの話題を。ヨーロッパには、「ユーロビジョン」なる各国代表が持ち歌で競う年に一度の歌謡コンクールがあります。日本ではそれほど知られていないと思いますが、世界的に有名なポップグループ「ABBA」もここで優勝したのが人気の原点と言われ、伝統と権威を誇るコンクールらしいです。最近では欧州圏の拡大に伴って旧ソ連の欧州部や、トルコ、イスラエルなども出場国に加わり、さらに子供部門も開設され、ベラルーシも数年前から参加するようになりました。国内予選の段階から毎年話題を集め、成人部門ではまだファイナルに残ることも難しいレベルですが、子供部門では昨年、ベラルーシ代表の女の子が何と優勝。今年もモーズィリという同じ地方都市出身の男の子がベラルーシ代表として、ルーマニアでのコンクールに出場します。さすがに二年連続優勝はないでしょうし、個人的には子供が化粧し、大人の真似をして歌う、というのは好きになれないのですが、今晩予定されているTV中継はちょっと見てみたい気がしています。
(花田朋子 ミンスク在住)
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