チェルノブイリ報告 (6/14 〜 6/22)

チェルノブイリ子ども基金理事長  鈴村 稔



<ウクライナ>

■キエフ内分泌研究所

[エプシュタイン医師の話] キエフ内分泌研究所にて診察を受けた1200人の子どもの90%が治療を受け、そのうちの100人が成人して子どもを産んだ。Lチロキシンを飲まなくてはならない厳しい状況にあるが、子どもが生まれているといううれしい事実がある。

ウクライナの経済状況は厳しく、「子ども基金」からの援助がなければ子どもたちは薬を飲めなかった。1200人の子どもたちは感謝をしている。子ども達はチロキシンを飲まないと、生命を保持できない。

■放射線医療センター

基金が支援したリハビリ室は、2001年11月26日開設。チェルノブイリ子ども基金では医療センターのリハビリ室を支援している。

[バヤルスカヤ医師の話] 放射線医療センターでは、2年前から手術後の子ども達がユージャンカの保養に参加している。子ども達はユージャンカを気に入っている。10歳以下の子どもや、成長異常がある女の子も参加したが心配はなかった。付添い人として病院のスタッフ・医師が加わっており、今年は3人の医者と学校の先生が付添いを行った。バヤルスカヤ医師は、休暇をとっての参加。

リハビリ室では、私達を8人の子が待っていてくれて、代表の子が歓迎のスピーチをしてくれた。「ユージャンカで、何が一番気に入ったの」と尋ねたところ、「すべて」と元気よく、明るい顔で答えてくれた。


里子の一人と面会

<ベラルーシ>

■小児血液病センター  

病院設立 1997年。アレイニコワ院長が不在のため 、ロマノワ副院長に基金が支援している4つの医薬品について、話を伺った。  

その後、各病室を訪ねた。心理専門医師からは、告知された子どもの患者とその親をケア−ずるため、担当医師と密に打ち合わせをしている等の説明を受けた。

■ミンスク第一病院

病院設立 1964年。

[デミチク医師の話] ミンスク第一病院は、国立甲状腺ガンセンターで年間1000人の患者を診ている。優れた医療器械があり、優秀な医師がいる。これまで1万人の患者を治療した経験がある。ガンは早い段階で見つける事が大事である。治療法としては、切除(腫瘍が発見された切除率は、100%)、放射性ヨウ素治療、チロキシン治療の三つの方法がある。

1990年以来、740人の子どもが、治療(手術)を受けた。子どもとは別に、15〜18歳の子が治療を受けてきた。先日、国際腫瘍会議があり、甲状腺ガンの発生率が増加している事が報告された。

現在では、早い段階に発見されるようになった為、甲状腺ガンの手術が成功する例が多くなった。

■州立ゴメリ病院

[グリボア・キサンドラ小児部長の話]腎臓病、胃腸病の子が入院している。神経病にかかっている子もいる。生まれたばかりで病気の乳幼児(5千グラムから2キロ以下)もいる。

腎臓病では、事故前と事故後とではあまり変わりが無く、18年たっても因果関係は分からない。それでも子どもの免疫力全体は低くなっている、という。

●希望21

設立 1994年9月24日 。

[マクシンスキー所長の話] 治療、リハビリを目的とし、ドイツとの共同支援団体が出来た。現在は、ドイツ、ベラルーシ、日本から、支援を受けている。日本の役割は高い。子ども基金は1993年から交流を始めて、様々な援助をいただいた。

保養を行っている各人に、特別のプログラムがある。特別保養に関しては、9年の取り組みを続けており、甲状腺ガンの手術を受けた子どものための保養プログラムを確立している。血液病と糖尿病の取り組みもある。ベラルーシ唯一の民間施設であり、他のサナトリウムは国立である。

食生活の改善のためには、3年前に、汚染されていない農場を43ha確保した。主な作物は、ジャガイモ、アカカブ、ニンジン(100%自給)、キュウリ、トマト(40%自給)、ネギ、ダイコン。ハーブティーや蜂蜜も作っている。農薬は使わないので、手間と時間はかかる。

独自の方針を保つために、海外からの援助が必要である。

●困難の中の子どもたち・ゴメリ

[パホモヴァ代表の話] ナジェジダでの、甲状腺ガン以外の子を対象としたプロジェクトを作って欲しい。甲状腺による病気の子(18歳未満)の保養プロジェクトを考えて欲しい。その他、奨学生、送金時期等色々な要望を伺った。

●ベラルーシ社会連合・チェルノブイリのサイン

設立は1996年4月。会員180人(甲状腺の手術を受けた子の親)。

チホノヴァ代表とすべてのスタッフ(5名)と問題点を話し合った。1年間の活動報告を受けてから、スタッフの給料、ビタミン剤購入、特別保養等の要請を受けた。その背景として2004年5月より、国からの援助が、35%減額になったとのこと。

上記2団体について話し合ったことは、今後もこのニュース等を通じてみなさまにお知らせし問題点を解決していきたい。


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