ミンスク便り



10月後半から半月以上、例年になく暖かい日が続いたミンスクですが、11月18日、初めてまともな積雪がありました。日中の気温も氷点下に下がり、いよいよ冬がやってきました。

この日は雪が降る中、突然の稲光と雷鳴があり、多くの人が驚いていました。やはり珍しいことらしく、新聞にもニュースとして載っていました。11月の雷というのは1985年以来だとか。湿気と気温の急激な変化で起こるらしく、地球温暖化に伴い、世界的には増えているのだそうです。雪が降ることは予報で予測できていたにも関わらず、迅速に除雪作業が行われず交通が麻痺したことを反体制派の新聞がすかさず伝えていました。昨年は同じ理由で責任者がクビになったのだそうです。

今年の日本は猛暑の後、相次いだ台風、そして地震と自然災害が続き、こちらでもその被害の様子が報道されました。天気予報を見ていると、北海道にはベラルーシと同じくらい寒い地域もあり、ここ最近の日本での耐え難い猛暑のことも考えると、自然条件に関しては日本の方が厳しいようにさえ思えてしまう今日この頃です。いずれにしても土地が変わると警戒する自然災害の種類も変わるものです。

冬の寒さはベラルーシの自然条件の最も大きな特徴だと思いますが、冬は必ずめぐってくる季節であり、ある程度の備えようもあります。断熱性の高い住宅を造ったり、積雪や路面凍結による被害を防ぐようにするには、経済力が必要で、結局はベラルーシの場合、その辺がネックになっているのだと思います。また、よくこちらでは「自然に悪い天気はない、悪いのは洋服だ」などと言います。後半は半ば冗談でつけくわえられるフレーズで、つまりは天気に備えた服装をしていれば何も困ることはない、という意味です。毎年寒くなってから慌てて冬物探しに町を歩き回っている私には、よく理解できる言葉です。

また春先には雪が溶け、洪水の被害が出ることもよくあります。ただ、山がないので地滑り・崖崩れというのは聞きません。台風やハリケーンに当たるようなこの地域特有の名前のついた暴風雨はありませんが、激しい雷雨や暴風雨の被害はたびたび起こり、ミンスク市内でも街路樹が倒れたり、短時間で大量の雨が降り、場所によって道路が川のようになることがこの夏も一度ならずありました。

冬の雷より珍しいのが地震です。その珍しい地震がつい最近、ありました。平日の昼間で気が付かなかった人の方が多かった程度の揺れですが、揺れること自体が珍しいため、これも話題になりました。こちらの人にとって慣れないことなので、揺れを感じて自分の感覚がおかしくなったのかと疑った人もいたようです。今回の地震はバルト海沿岸のカリーニングラード周辺が震源で、500km離れたミンスクでも感じられるほどですから現地ではかなり強いものだったようです。1970年代にルーマニアで大地震があった際にも、ベラルーシまで震動が伝わったと聞きます。海がないので、地震による津波の心配も当然なく、地震に対する備えも必要がなく、「地震には季節性があるのか」といった類の質問をする人もいるほどです。

冬は始まったばかり。この冬がどの程度寒くなるのか分かりませんが、今年はロシアからのガス供給が確保されたそうで、とりあえず真冬に暖房が止まるという非常事態の心配はなさそうです。しかし天災・人災には季節や時間を選ばないものも多く、ベラルーシや日本で、また世界で、戦争や事故、災害が少しでも減り、一年を平穏に終えられることを願います。

(花田朋子 ミンスク在住日本大使館勤務)


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