B・イリーナ 1985年生まれ
ベラルーシ ゴメリ州レチッツァ市
99年に甲状腺ガンの手術後。現在はチロキシンとカルシウム剤を服用。今年、チェルノブイリ障害者補償としてアパートを得た(*3)。1歳半の息子と2人暮らし。息子には食べ物のアレルギーがあるため頻繁に通院している。夫は家族を捨てて出て行き、何の援助もしていない。イリーナは健康状態がよくないため、就職先を探すのが難しい。また、息子が3歳になり幼稚園に行くまでは働きに出ることができない。収入は国からの障害者年金と里親からの支援金だけ。部屋にはテーブル・ソファ・テレビの他にほとんど物がなくがらんとしている。居間には里親から送られてきた千羽鶴が飾ってあった。何もない部屋の中で、そこだけが暖かく感じられた。
レチッツァ市には甲状腺ガンの手術を受けた若者が多く、すでに結婚し子どもをもつ者もいる。イリーナが住んでいるアパートの向かいの新しいアパートにも、甲状腺手術を受けた若者が最近引っ越してきたという。
(*3:チェルノブイリ障害者補償として国から与えられるアパートは、購入費用・家賃が一般の半額。購入費用は約25年ローンで支払う)
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